ベトナム株式市場

暴落を乗り越えた?チャートで見る「ベトナム株式」市場!VN指数は健全に成長。2022年以降の買い方はヴァンエック ベクトル ベトナムETF(VNM)がおすすめの選択肢?

チャートで見る、ベトナム株式市場!VN指数は健全に成長。2021年以降の買い方はヴァンエック ベクトル ベトナムETF(VNM)がおすすめの選択肢?

新興国株式を検討する上で、「経済成長が継続するであろう国」を前提に選ぶのがセオリーと言えるでしょう。こと新興国に至っては以下を確固とした姿勢で調査する必要があります。

「株式市場がそもそもしっかりと整備されているのか?」

「健全な取引がなされ、株式市場自体が成長しているのか?」

 

新興国株についてはある程度経済成長している国の方がその意味では安全です。新興国不動産(海外不動産)などは、まだまだ貧困地域が多く成長余地がある国を選ぶ方が良いです。

それぞれ視点が違います。その点を最初に理解しておく必要があります。

今回はベトナムに関して、良い感じで成長を遂げている国の一つとして、投資妙味があるのかどうか、投資をするのであればどのような対象があるのかを見ていきます。

ベトナム国旗

ーーーーーーーーーーーー

(新興国一覧)

中国 香港 インドネシア インド カンボジア シンガポール タイ

フィリピン ブラジル ベトナム マレーシア ミャンマー ラオス 南アフリカ

ーーーーーーーーーーーー

ベトナムの基本概要と経済事情

国・地域名 ベトナム社会主義共和国 Socialist Republic of Viet Nam
面積 33万1,690平方キロメートル(日本の0.88倍)
人口 9,648万人(2019年、出所:ベトナム統計総局(GSO))
首都 ハノイ 人口 809万人(2019年、出所:ハノイ市統計局)
言語 ベトナム語、ほかに少数民族語
宗教 仏教(約80%)、そのほかにカトリック、カオダイ教、ホアハオ教など
公用語 ベトナム語

出典:JETRO

 

ベトナムの首都はハノイ。人口は9,684万人と日本に匹敵する規模です。土地面積も日本とそう変わりません。公用語はベトナム語。

1975年のベトナム戦争終了後、混沌とした時代を過ごした国でしたが、90年代以降は高成長に。2007年1月にはWTO加盟。海外からの投資が増加、経済成長が軌道に乗っている勢いのある新興国の一つです。

 

ベトナムの経済指標を見ていきましょう。以下数値は2019年ベース/2020年GDP成長率見込および斜体箇所はIMF推定値です。

 

【Ⅰ-1】アジア主要国経済指標

【Ⅰ-1】アジア主要国経済指標

 

国力を測る上で非常に重要な指標である「一人当たりGDP」がベトナムは3,416ドルです。日本の40,256ドルを考えると、一人当たりが稼ぐパワーは1/10です。まだまだ新興国ですね。

ベトナムのGDPの推移は以下の通りです。

 

名目GDPおよび実質GDP成長率推移

名目GDPおよび実質GDP成長率推移

 

アジア通貨危機とリーマンショックで成長は鈍るも、2020年のコロナショックまでは6%を超える成長を見せていました。IMF見通しでは2021年以降も成長力は戻るとされており、将来が非常に楽しみな国の一つと言えます。

産業構造については2019年時点でサービス業が55%を占めています。農業の比率は2000年から半減し、知能労働に転換していっていることがわかります。先進国へシフトしていく典型的な動きです。

 

産業別GDP構成比(2000年と2019年の比較)

産業別GDP構成比(2000年と2019年の比較)

 

 

さて、肝心要の株式市場をチェックしていきましょう。そもそも投資可能なのでしょうか?

 

ベトナムの株式市場

ベトナムの代表株価指数は「VN指数(ベトナム株価指数)」です。日本でいうTOPIX(日経平均は225銘柄しか組み入れられていません)、米国でいうS&P500です。

VN指数はホーチミン証券取引所(HSX)に上場の全銘柄から構成される時価総額加重平均指数です。VN株価指数の次に代表的なのが「ハノイ証券取引所株価指数」です。この2つの成長性を見ていけば自ずとベトナム株の成長性は把握できてくるでしょう。

 

ホーチミン証券取引所(HSX)

 

  • 総銘柄数:約400
  • 時価総額:約15兆円
  • 代表銘柄:ビナミルク/ビングループ/テクコムバンク/ペトロベトナムガス

 

ホーチミン証券取引所の銘柄数は約400銘柄です。VN指数は400銘柄の動きに連動します。時価総額が非常に低いですね。15兆円です。日本は東証一部が700兆円、米国NYSEは約3,000兆円です。

しかし、低い時価総額はまだまだ先駆者になれる可能性を秘めている点では非常にポジティブな側面があります。

以下はVN指数の相場の動きですが、米国のS&P500と連動した動きをしていますね。

VN 相場情報 S&P500 相場情報

コロナショックからの回復、そして2022年に下落。今後は高くなりすぎたドルの逆回転により新興国に資金が流れ込み、S&P500のパフォーマンスを上回ってくるかもしれません。

VN 相場情報

ハノイ証券取引所(HNX)

 

  • 総銘柄数:約370
  • 時価総額:約1兆円
  • 代表銘柄:ACB・ビコストーン・ビナコネックス

 

HNXも直近5年は恐ろしい成長を見せています。指数が3倍になっています。この成長を取り込めた投資家はどれくらいいるのでしょうか?

時価総額が1兆円規模ですと、ビットコインに投資をするよりも危険と言えます。あのボラティリティの激しいビットコインですら、2023年2月時点で36兆円です。

 

HNX 相場情報

 

こちらは長期で見て出来高が金融緩和ジャブジャブの2020年以外はそこまで健全に成長していませんね。やはり株価指数はVN指数しかまだ信用できないと思います。HNXは筆者ならパスです。

 

ベトナム株式市場はVN指数なら妙味はあると言える?

 

株式市場の健全性としてはVN指数一択でしょうか。個別株に投資する気にはなれない規模なので、ベトナム株式市場で購入するとしたらVN指数に連動するインデックスが良いと思いますしそれ以外はあり得ません。

しかしVN指数に連動するインデックスファンドは今の所見つからず、代わりに見つかったのが「ヴァンエック ベクトル ベトナムETF」(VNM)です。ベトナムの流動性の高い企業が組み入れられたETFです。これが一番安全なのではないでしょうか。(新興国株に安全という言葉が適切かはわかりませんし現在は大きく下落してしまっているのですが)。

VanEck Vectors Vietnam ETF (VNM)

 

ちょっとボラティリティが怖いですね。これなら日本の大手金融機関が出しているベトナム投資信託の方が良いかもしれません。

ETFはサクサク売買ができるのは良いですが、こうもボラティリティが高い投資対象ですと、スキルが求められます。

 

ベトナムの投資信託に関しては別途色々とリサーチしています。以下の記事を参考にしてください。

  1. アジア投資信託おすすめはこれ?三井住友・アジア4大成長国オープン(日本株25%・ベトナム株15%・インド株30%・中国株30%)評判通りのリターンを期待して良いのかを投資検討指標(トータルリターン・標準偏差やシャープレシオ)、基準価額チャートなど運用成績比較で評価
  2. 乱立するベトナム投信の中で「ベトナム・ロータス・ファンド(愛称 : ロータス)」の実態は?投資指標は評判通り?トータルリターン・標準偏差やシャープレシオの水準に不安材料。基準価額チャートなど運用成績比較で評価
  3. DIAMベトナム株式ファンド(愛称:ベトナムでフォー)の実態は?投資指標は評判通り?トータルリターン・標準偏差やシャープレシオの水準に不安材料。基準価額チャートなど運用成績比較で評価
  4. CAMベトナムファンドの実態は?ベトナム成長株インカムファンドと比較。評判通り投資指標は残念?トータルリターン・標準偏差やシャープレシオの水準に不安材料。基準価額チャートなど運用成績比較で評価
  5. ベトナム株式ファンドの実態は?評判の割に標準偏差やシャープレシオの水準に不安材料。基準価額チャート、指数連動ETFとの運用成績比較で評価していく
  6. ベトナム成長株インカムファンドは評判の割に標準偏差やシャープレシオがネック?基準価額チャート、指数連動ETFとの運用成績比較で評価していく

 

ベトナムのみならず、新興国全体を考慮に入れたおすすめETFは以下です。

あわせて読みたい
【2021年】新興国株式のETFをおすすめ順にランキング形式で紹介!インデックス型だけでなくアクティブ型も含めて分析する。
【2023年】新興国株式のETFをおすすめ順にランキング形式で紹介!インデックス型だけでなくアクティブ型も含めて分析する。成長著しい新興国の株式に投資をしたいと考えている方は増えてきているのではないでしょうか? かといって新興国の銘柄分析は難易...

 

ベトナム株を購入するにはどこの証券会社があるのか?

ベトナム株自体はSBI証券岩井コスモ証券アイザワ証券むさし証券などで購入可能です。

アイザワ証券の現地レポートは面白いので一読の価値があります。

正直、個別株は買わなくて良いと思います。ベトナムに関しては、日本の投資信託に任せるのが良いと思いますが、強烈なリスクをとってでもベトナム株でリターンを獲得したい人は、とりあえずSBI証券で取引をすれば良いのかと思います。

個別株ならビングループ(VIC)、ビナミルク(ベトナム乳業)(VNM)、ベトコムバンク(VCB)、マサングループ(MSN)、ベトジェット航空(VJC)などでしょうか?

ビナミルクは日本でいうトヨタみたいな位置づけでしょう。海外での売り上げもある企業はやはり事業の分散ができていて心強いです。

 

1976年創業の大手乳製品製造会社です。海外40ヵ国への輸出実績があり、米国、ニュージーランド、ポーランドに工場を保有するなど海外への展開を進めています。海外での売上高は全体の約15%を占めています(18年12月期)。

食文化の西欧化、所得の上昇にともなってベトナム人の乳製品の消費は、長期的に拡大が期待されます。また、海外展開による成長も期待できます。

18年12月期も引き続き、牛乳、粉ミルク、ヨーグルト、飲むヨーグルト、コンデンスミルクの主要製品分野で国内市場シェアを拡大。売上高は前年比2.9%増の52.63兆ドン。

(出典:ビナミルク(ベトナム乳業)(VNM)

 

それ以外は紙切れになる勢いで株式が暴落するような気がします。少額でやりましょう。

 

まとめ

ベトナム株を個別でやるのであれば相当な覚悟とスキルが必要であることがしっかりと認識できました。

最後にまとめると、ベトナム株式市場は健全に成長をしています。しかし、指数によってボラティリティの大きさにバラツキがあり、唯一投資をしても良いと思えるのはVN指数に連動するETF。

しかし、このETFが見当たらず、似た戦略としてベトナム大型企業のみ組み入れている「ヴァンエック ベクトル ベトナムETF」(VNM)が選択肢になってきます。

個別株は、VN指数の時価総額が15兆円規模とビットコインよりもボラティリティがある状況。しかし今後の海外からの直接投資が増えれば増えるほど、まだまだ上昇ペースは落ちない可能性はあります。「夢投資」枠ですね。

少額で買って10年くらい放置して、10年後に宝くじ感覚で見る感じの投資を考えているのであればそれもよしかもしれませんね。

ーーーーーーーーーーーー

(新興国一覧)

中国 香港 インドネシア インド カンボジア シンガポール タイ

フィリピン ブラジル ベトナム マレーシア ミャンマー ラオス 南アフリカ

ーーーーーーーーーーーー

 

個人的には、今後より世界で名を馳せていくであろう中国市場に注目しています。

 

【見通し良好!】中国の経済は今後どうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!

あわせて読みたい
【2022年】日本国内から投資できるおすすめのヘッジファンドをランキング形式で紹介!高いリターンを掴みとろう!
【2023年以降】日本国内から投資可能なおすすめのヘッジファンドをランキング形式で紹介!失敗・大損を避ける投資をプロに任せることで実行すべし。自分で資産運用を行う場合を除いて、個人投資家の主な投資先は投資信託だと思います。しかし、富裕層は投資信託以外の特別な選択肢を有しています...

 

新興国投資で投資で大きく資産を増やす投資先とは?投資対象・運用戦略・期待リターンから厳選。
新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。