新興国株式を検討する上で、「経済成長が継続するであろう国」を前提に選ぶのはがセオリーと言えるでしょう。
こと新興国に至っては株式市場がそもそもしっかりと整備されているのか?健全な取引がなされ、株式市場自体が成長しているのかを見る必要があります。
新興国株についてはある程度経済成長している国の方がその意味では安全です。不動産などは、まだまだ貧困地域が多く成長余地がある国を選ぶ方が良いです。それぞれ視点が違います。その点を最初に理解しておく必要があります。
今回は香港に関して、投資妙味があるのかどうか、投資をするのであればどのような対象があるのかを見ていきます。香港は世界一不動産価格が高く、金融市場も世界を代表する位置におり、新興国の括りとして誤りであることは認識しながらも、分析を進めていきます。
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(新興国一覧)
中国 香港 インドネシア インド カンボジア シンガポール タイ
フィリピン ブラジル ベトナム マレーシア ミャンマー ラオス 南アフリカ
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香港の基本概要と経済事情
国・地域名 | 香港 Hong Kong |
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面積 | 1,110.2平方キロメートル(東京都の約半分) |
人口 | 747万人(2020年末)(出所:香港政府統計処) |
言語 | 中国語(一般には広東語が多い)と英語 |
宗教 | 仏教、道教、キリスト教 |
公用語 | 中国語と英語 |
出典:JETRO
香港は首都などはありません。人口は747万人と日本の1/10以下です。非常に人口が少ないですよね。土地面積も東京の約半分しかありません。公用語は中国語と英語、広東語。世界の覇権を握る米国と中国の言語を押さえた国となります。さすが金融国家ですね。
シンガポールと似た、というか同様の位置付けとなります。
香港は正式名称は「中華人民共和国香港特別行政区」です。1997年まで英国植民地でした。その後中国に返還。
香港の経済指標を見ていきましょう。以下数値は2020年ベース/2021年GDP成長率見込および斜体箇所はIMF推定値です。
国力を測る上で非常に重要な指標である「一人当たりGDP」が香港は45,176ドルです。日本の39,048ドルを考えると、一人当たりが稼ぐパワーは1.2倍ほどです。完全に先進国ですね。少ない人口で大きなGDPを稼ぐという、ビジネスにおいてはお手本通りといえる形です。
香港のGDPの推移は以下の通りです。
少ない人口で、一時はGDP成長率8%を超える水準で成長してきました。異次元ですね。近年はコロナショックの影響もありましたが、2022年以降は成長は戻るとされていました。しかし引き続きロックダウンもありましたので、2023年より回復が見込まれています。
産業構造については2019年時点で金融仲介業により集中する動きとなっています。金融大国ですね。農業はほぼ存在しません。サービス業が付加価値生産額の9割以上を占めます。
さて、肝心要の香港の株式市場をチェックしていきましょう。
香港の株式市場
香港の代表株価指数は「香港ハンセン指数」です。日本でいうTOPIX(日経平均は225銘柄しか組み入れられていません)、米国でいうS&P500です。
香港ハンセン指数は香港証券取引所(HKEX)で取引されている銘柄の中から、代表的な48銘柄を採用。TOPIXやS&P500などと同様に時価総額加重平均型株価指数として表示されます。
ちなみに、香港証券取引所ですが、2021年1月時点で時価総額で世界トップになっています。
世界の主要取引所運営会社の時価総額で、香港取引所(HKEX)が米CMEグループを追い抜きトップに躍り出た。中国本土の大手テクノロジー企業による上場が増え、関連収入を押し上げることへの期待感が高まっている。
ブルームバーグのデータによると、香港取引所の5日の時価総額は5,794億HKドル(約7兆7,300億円)。CMEは640億米ドル(約6兆6,200億円)、米インターコンチネンタル取引所(ICE)は634億米ドルとなった。同紙によると、首位争いは2020年第4四半期(10~12月)のほとんどで拮抗(きっこう)していたが、年内最終週になると香港取引所の首位奪取が決定的となった。
ちなみに、上場銘柄の総時価総額は約582兆円です。日本は東証一部が700兆円、米国NYSEは約3,000兆円です。今後はどうなっていくのでしょう。中国企業の香港市場上場加速で、あっという間に2位に躍り出てしまいそうな雰囲気を醸し出しています。
香港証取 | ||
メインボード | GEM | |
上場 社数 |
2,150 | 374 |
時価 総額 |
43.2 兆香港㌦ (582 兆円) |
0.1 兆香港㌦ (1.5 兆円) |
上場 要件 |
・利益/時価総額基 準 or ・時価総額/売上高 基準 or ・時価総額/売上 高・キャッシュ フロー基準 |
・時価総額基準 and ・キャッシュフロ ー基準 |
審査 | HKEx 上場委員会 | HKEx 上場委員会 |
その 他 |
・種類株可 ・バイオテック企 業可 |
– |
出典元:https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/mhri/research/pdf/insight/as201201.pdf
以下は香港ハンセン指数の相場の動きですが、コロナショックから多少出遅れながらも、米国のS&P500と連動した動きをしていますね。
2022年は下落に見舞われましたが、その後中国ロックダウンの解除などファンダメンタルズが改善し、上昇に転じています。
香港株式市場は香港ハンセン指数インデックス投資なら妙味はあると言える?
香港市場でインデックス投資をするのは一つの良い選択肢といえるでしょう。
今後の深センなどから生まれるテクノロジー企業の台頭、止まらないアリババやテンセントを始めとしたハイテク企業の快進撃はまだまだ衰えを知りません。
ハンセン・インベストメント・インデックス・ファンド(2833)が王道といえます。
2018年以降はイマイチ奮いませんが、2018年につけた35HKDを超えてくると面白い展開になると思います。それまでは忍耐強く待つ必要があると思います。
香港株に関しては、指数に連動するものを買うよりも、ある程度米国と重複上場している銘柄もありますので個別で遊ぶのが良いと思います。本格的なリターンを目指すのであれば、中国系銘柄に特化した投資を行っているファンドなどの選択肢もあります。
https://indexnz.com/investment-trust-ranking/
香港株を購入するにはどこの証券会社があるのか?
香港株自体は香港株は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などで購入できます。
香港株の種類はメインボードとGEMの2種類あります。GEMはグロース市場です。
メインボードの中に「H株」、「レッドチップ株」「その他」の3つがあり、基本的にはこちらに投資をするのが王道です。
「H株」・・・・「H」は「Hong Kong」の頭文字を採ったものです。中国籍企業によって中国本土内に設立され、香港証券取引所に上場している企業。電力や鉄鋼などの重厚長大系の中国国有企業が多い。
「レッドチップ株」・・・・中国籍企業によって香港などに設立され、香港証券取引所に上場している企業。中国本土の資本が30%以上で、通信やテクノロジー株が多い
「その他」・・・香港企業や海外企業で香港市場に上場している銘柄
代表銘柄というと、パッと思いつく限りでは以下でしょうか。まだまだ有望銘柄はあります。
- Tencent Holdings Ltd
- Alibaba Group Holding Ltd
- Wuxi Biologics Cayman Inc
- Xiaomi Corp
- HSBC Holdings PLC
香港株(中国株)に投資をするのであれば、中国の経済状況などを把握しておくべきです。
https://indexnz.com/china-economy/
まとめ
香港株を個別でやるのであれば本気で取り組むしかありませんので、基本はETFや中国株に特化したファンドに資金を運用してもらった方が良いでしょう。個別株の世界は、気をぬくと一瞬でやられてしまう世界であり甘くありません。たまに株は買って放置が良いなどという話を聞きますがとんでもありません。あれは偶然株が上がった人のみが発信しているので目立つだけです。鵜呑みにするのはやめておきましょう。個別株投資をなめてはいけません。
最後にまとめると、香港株式市場は健全に成長をし、出来高も安定しています。投資環境は非常に良いです。中国自体も米国と覇権争いをしている国であり、今後の動向は要ウォッチです。まだまだ割安銘柄が転がっている市場ですので、今は好機と言える時期だと思います。
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個人的には、今後より世界で名を馳せていくであろう中国市場に注目しています。
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>>> 【見通し良好!】中国の経済は今後どうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!
皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。
経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。
一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。
青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体
強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。
そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。
また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。