ブラジル株式市場

ブラジル株式市場の未来をチャートチェック!ボベスパ(BVSP)指数の成長に疑義。2023年以降の買い方はUBSブラジル・インデックス・ファンドがおすすめの選択肢?

ブラジル株式市場の未来をチャートチェック!ボベスパ(BVSP)指数は健全に成長。2021年以降の買い方はUBSブラジル・インデックス・ファンドがおすすめの選択肢?

新興国株式を検討する上で、「経済成長が継続するであろう国」を前提に選ぶのはがセオリーと言えるでしょう。

こと新興国に至っては株式市場がそもそもしっかりと整備されているのか?健全な取引がなされ、株式市場自体が成長しているのかを見る必要があります。

 

新興国株についてはある程度経済成長している国の方がその意味では安全です。不動産などは、まだまだ貧困地域が多く成長余地がある国を選ぶ方が良いです。それぞれ視点が違います。その点を最初に理解しておく必要があります。

 

今回はブラジルに関して、良い感じで成長を遂げている国の一つとして、投資妙味があるのかどうか、投資をするのであればどのような対象があるのかを見ていきます。

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(新興国一覧)

中国 香港 インドネシア インド カンボジア シンガポール タイ

フィリピン ブラジル ベトナム マレーシア ミャンマー ラオス 南アフリカ

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ブラジルの基本概要と経済事情

国・地域名 ブラジル連邦共和国 Federative Republic of Brazil
面積 851万5,767平方キロメートル(日本の約22.5倍)
人口 2億1,161万人(2020年予測値)出所:ブラジル地理統計院(IBGE)
首都 ブラジリア 人口:447万人(2018年) 出所:国連推計
言語 ポルトガル語
宗教 主にカトリック

出典:JETRO

ブラジルの首都はブラジリア。規模感的にはサンパウロやリオデジャネイロが中心地です。人口は2億1,161万人と日本の約2倍の規模です。

土地面積はなんと日本より大きい22.5倍。さすが資源国と言わんばかりの大きな国です。

公用語はポルトガル語。スペイン語に近い言語ですね。この2つの言語は英語と文法ルールや単語一つ一つが似ていますが、侵略戦争の過去の歴史がここから浮き彫りになります(ここでは多くは触れません)。

 

ブラジルと言えば2016年のリオデジャネイロオリンピックの開催地ですね。ブラジルの代表株といえばVALEですよね。豪州リオ・ティント社、豪州BHPビリトン社と並ぶ鉄鉱石産出会社です。ブラジル最大の石油会社、ペトロブラスも海外株を買う投資家には馴染みのある銘柄でしょう。

上記二社から容易に察することができますが、ブラジルはとにかく資源に頼る側面が強い会社です。ある意味、その資源が枯渇しない限りは成長は急速でないものの、成長率が大きく下がることはないと思わされますが、経済成長と株式市場の成長具合をそれぞれ今回は確認していきましょう。

 

グラフ 1 過去 10 年間の年間 GDP の推移

グラフ 1 過去 10 年間の年間 GDP の推移

 

国力を測る上で非常に重要な指標である「一人当たりGDP」がブラジルは$9,040ドルです。日本の40,256ドルを考えると、一人当たりが稼ぐパワーは約1/4です。まだまだ新興国ですね。そろそろ1万ドルの中所得国の罠に差し掛かります。ここをスムーズに突破できるのか、ブラジル政府の舵取りに注目が集まりますね。(といっても、世界の資源需要に依存するとは思います)

 

 

ブラジルのGDPの推移は以下の通りです。

図1:実質GDP

図1:実質GDP

 

 

2014年ほどまではGDP成長率は4%を大きく超える水準でしたが、その後は新興国らしくない成長率となっています。現地の政治汚職問題などでゴタゴタが起きている内に、また貿易収支が健全化されず、なかなか一人当たりGDPも1万ドル前後を大きく突破できません。

 

産業構造については2020年時点でサービス業が71.29%を占めています。2010年時点でも知識集約型の産業にすでにシフトしており、まだ残っていた農業領域は12%からここ10年で9%と3%も低下しています。

Brazil: Distribution of employment by economic sector from 2010 to 2020

Brazil: Distribution of employment by economic sector from 2010 to 2020

 

健全なシフトを進めつつも、まだまだ工業セクターからサービス業への(通信や金融、旅行など)へのシフトは進みそうです。このまま中所得国の罠である10,000USDを大きく越えていけるのかを見届けたいところです。

 

さて、肝心要の株式市場をチェックしていきましょう。ブラジルと言えば資源株しか買うものがないと、少し言い過ぎな投資家が口走ってしまうような国です。個人投資家としては、資源株を買う前にそもそも投資妙味のある株式市場が整備されており、健全に成長しているのかどうかを見ていきましょう。

ブラジルの株式市場

ブラジルの代表株価指数は「ブラジルボベスパ指数」です。日本でいうTOPIX(日経平均は225銘柄しか組み入れられていません)、米国でいうS&P500です。

ブラジルボベスパ指数サンパウロ取引所に上場する株式の株価指数です。出来高加重トータルリターン型(流動性を考慮した加重平均指数で、配当込みのトータルリターン)の指数で、1968年2月1日を基準値(100)として算出しています。

この代表指数の成長性を見ていけば自ずとブラジル株の成長性は把握できてくるでしょう。

 

<ブラジルボベスパ指数(BVSP)>

  • 総銘柄数:84
  • 代表銘柄:VALE SA/ITAU/PETROBRAS/B3 SA-BRASIL BOLSA BALCAO/BANCO BRADESCO SA – PREF

 

サンパウロ証券取引所の銘柄数は84銘柄です。非常に少ないです。分散が効いていないので、インデックスに投資をしてもベトナムやタイなどの新興国に比べるとボラティティが激しい市場になりそうです。

 

以下はボベスパ指数の相場の動きです。コロナショックで61,690BRLまで割り込みました。

 

 

その後回復し、2023年4月時点では100,822BRL付近を推移しています。コロナ前の水準を超えその後やや下落しました。傾向としてはS&P500と連動した動きをしていますね。

 

 

ブラジルボベスパ指数の動向を長期で確認します。出来高(売買高)が年々活発化していれば、今後成長余地が見込めると思います。市場が育つには、強い売買が必要です。

長期では出来高データが取れなかったのでまたまた5年チャートを見ます。出来高は2020年のコロナショックまでは横ばいでした。

 

リーマンショック後に微増してはいますが、本格的に売買が活発になったのはコロナショック後ですね。コロナショック後は各国、異次元の金融緩和を行いましたので、増加して当然です。少し、株式市場に関しては期待はずれでした。

 

ブラジル株式市場はボベスパ指数へのインデックス投資(UBSブラジル・インデックス・ファンド)なら妙味はあると言える?

ブラジル株を買うなら、景気が良くなる、というタイミングでVALEを仕込むくらいしか筆者にはアイデアが浮かびません。VALEをドル建てで米国株として取り扱うのが一番良いのではないでしょうか(ブラジルレアルの為替リスクは株価に表れます)。

ブラジルのインデックスでさえ、筆者には購入する気が出ません。それくらい経済成長のスピードも弱まっており、株式市場の出来高もイマイチ良い推移を描いておりません。

世界は広いです。数ある国の中からブラジルを選ぶ理由が特にありません。どうしてもブラジルの株を買いたいのであれば、上記Valeを景気拡大局面に買うか、ボベスパ指数連動型投信を買うかですね。

 

ボベスパ連動型であればアイデアは2つです。

 

UBSブラジル・インデックス・ファンド

「UBSブラジル・インデックス・マザーファンド」への投資を通じて、主にブラジル株式市場の動向を表す代表的株価指数であるボベスパ指数を構成する株式に投資する。但し、米国株式預託証書(ADR)、海外株式預託証書(GDR)、株価指数先物取引に投資する場合がある。原則として為替ヘッジは行わない。

NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信

日本円換算したボベスパ指数※(対象株価指数)に連動する投資成果(基準価額の変動率が対象株価指 数の変動率に一致することをいいます。)を目指します。

ボベスパ指数は、ブラジルを代表する株価指数です。サンパウロ証券取引所に上場する株式のうち流動性の高い銘柄で構成されています。ボベスパ指数は、配当込み指数であり、その計算方法は、浮動株調整済時価総額加重平均方式です。1968年2月1日を基準日とし、その日の指数値を100として算出されています。

 

ETFは個人で売買をしなければならないので、初心者には少し厳しいかもしれません。上記は一応インデックス投資なので、買って放置でも良いのですが、投資対象が先進国ではなく新興国なので、有事の際は自分で売却判断を必要とします。

その意味では、投資信託の方が良いかもしれませんね。ブラジルの投資信託も後で色々と調べていますので参考にしてください。

 

 

ブラジル株を購入するにはどこの証券会社があるのか?

先出ししておくと、UBSブラジル・インデックス・ファンドは楽天証券SBI証券で買えます。もうこれで良いような気もしています。無理に個別株をブラジル市場でやるのは、相当に現地知見など投資家に強みがないと厳しい気がします。

どうしても買うのであれば、ブラジルの個別株を購入するには、ニュース証券があります。

もしくはVALEのような米国市場に上場しているブラジル株(ADR)を購入する手もあります。以下は楽天証券です。

ブラジルADR 主力銘柄

【コンパニア・デ・ベビダス・ダス・アメリカス(アンベブ)】 ティッカー:ABV
アンハイザー・ブッシュ・インベブ傘下のビールおよび各種飲料メーカー。ビール生産では南米で首位、世界でも5番手につけています。経済成長とともに増加が見込まれるビール需要の囲い込みを図っています。

【エンブラエル-ブラジリアン・アビエーション】 ティッカー:ERJ
ボーイング、エアバスに次ぐ世界第3位の航空機製造業者です。2000年の本土市場への上場と同時にニューヨーク証券取引所にADRの上場を果たしました。中小型旅客機や軍事関連航空機の製造に強みがあります。

【ヴァーレ】 ティッカー:VALE
鉄鉱石をはじめ、各種金属の原料となる鉱石類の採掘や販売を手がける世界の鉱業最大手企業です。主要先進国に加え新興国の主要製鉄企業を顧客とします。先進国の引き合い増による鉄鋼石価格上昇の恩恵を受ける企業として注目されています。

【ブラジリアン・ペトロリアム – ペトロブラス】 ティッカー:PBR
ブラジル政府系のエネルギー関連企業です。南米最大の時価総額を誇る大企業としても知られ、海底石油の掘削技術に定評があります。海外展開にも積極的で、日本でも沖縄の南西石油を傘下に収めています。

【テレ・ノルテ・レステ・ホールディング】 ティッカー:TNE
ブラジル最大の通信サービス企業です。2千万人以上の固定電話契約者、3千万人以上の携帯電話契約者数を誇ります。同業他社の買収も進め、南米有数の通信企業としての存在感を高めています。

 

VALE、ペトロブラスは資源株としてあまりにも有名ですね。景気拡大局面で狙う株であることは頭に入れておきましょう。そして、景気サイクルに合わせてトレードするようにしましょう。

 

まとめ

ブラジル株を個別でやるのであれば相当な覚悟と現地知見、スキルが必要であることがしっかりと認識できました。そもそも売買が日本からでは少し難しいです。バリュエーション(銘柄の種類)も少なく、手数料が割高になります。ブラジル駐在などしている人であれば良いのですが。

 

最後にまとめると、ブラジル株式市場は健全に成長もしておらず、経済成長の先行きも少し安心できないため、わざわざブラジルで株を買うのかといえば、筆者自身はNOです。「夢投資」枠すら期待していません。ベトナムタイの方がマシでした。そんな感じです。

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(新興国一覧)

中国 香港 インドネシア インド カンボジア シンガポール タイ

フィリピン ブラジル ベトナム マレーシア ミャンマー ラオス 南アフリカ

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個人的には、今後より世界で名を馳せていくであろう中国市場に注目しています。

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新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。