インドネシア投資信託(ファンド・ETF)

ノムラ・アジアシリーズ!野村インドネシア・フォーカスは評判通りの利回りを生んでくれるのか?トータルリターン、標準偏差、シャープレシオは厳しい水準。一応、MSCIインドネシアインデックスはクリア

ノムラ・アジアシリーズ!野村インドネシア・フォーカスは評判通りの利回りを生んでくれるのか?トータルリターン、標準偏差、シャープレシオは厳しい水準。一応、MSCIインドネシアインデックスはクリア

投資をする上で、全てを安全資産で運用することは悪くありませんが、一部を少々リスクの高い投資対象に振ることで、最大リターンを高める努力もしていきたいものです。そんな時に、「新興国投資」が視野に入ってきます。

新興国の中でも、インドネシアは今後成長が期待される国として注目を集めています。

 

インドネシア株に投資するには証券会社を通して個別銘柄に投資する方法もありますが、一番簡単なのは投資信託を購入する方法です。

インドネシアの経済状況など基本的なマーケット情報は以下の記事で解説しています。

>> インドネシア株はやめておけ!新興国投資の中でもおすすめできない理由を解説する

他のインドネシア投信についても過去に調べているのでよろしければ。

 

今回は「野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカス」についてその投資魅力や内容について解説していきます。

 

野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカスの特徴とは?

細かい詳細は「野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカス」の目論見書を読むのが早いでしょう。この記事ではポイントのみに焦点を当てていきます。

 

簡単な概要としては、「野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカス」は、主要対象としてインドネシアの取引所に上場する株式を、トップダウン・アプローチによる業種別配分を加味し、ポートフォリオを構築しリターンを目指していくファンドです。

ベンチマークはジャカルタ総合指数です。

 

とにかくインドネシア・アジアの成長性の高い株を買っていくファンドです。運用は「野村アセットマネジメント株式会社」です。野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカスはノムラ・アジア・シリーズの一つです。

インドネシア以外にも展開しております。野村の名前があれば、どの国で展開しても商品は売れるでしょうね。リターンが出るのであれば御の字ですが、ノムラ・アジア・シリーズはどうなのでしょう。

インドネシア以外にも、以下の商品が展開されています。

  • ノムラ・アジア・シリーズ(ノムラ・印度・フォーカス)
  • ノムラ・アジア・シリーズ(ノムラ・アセアン・フォーカス)
  • ノムラ・アジア・シリーズ(ノムラ・豪州・フォーカス)
  • ノムラ・アジア・シリーズ(ノムラ・タイ・フォーカス)
  • ノムラ・アジア・シリーズ(ノムラ・フィリピン・フォーカス)

 

運用プロセス(ポートフォリオ構築プロセス)は、以下の通りです。上記で述べたとおりトップダウン形式です。流動性分析、バリュエーション分析、ファンダメンタルズ分析、個別銘柄の評価。一般的な方法ですね。短期ではなく、長期的に株価の趨勢が上向くかどうかに特化しています。

■ポートフォリオ構築プロセス■

至って特筆する点はありません。とてもベーシックな運用プロセスです。

「野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカス」の規模は2021年7月末時点で27.5億円です。小規模ファンドですね。

 

組み入れ銘柄(ポートフォリオ)

組み入れ銘柄は以下の通りです。大手企業で固まっていますね。国営企業の面々が揃います。

 

順位 銘柄 業種/セクター 組入比率
1 BANK CENTRAL ASIA 銀行 14.20%
2 BANK RAKYAT INDONESIA 銀行 10.00%
3 TELEKOM INDONESIA PERSERO TBK 電気通信サービス 8.40%
4 BANK NEGARA INDONESIA PT 銀行 4.80%
5 BANK MANDIRI 銀行 4.50%
6 PT ASTRA INTERNATIONAL TBK 自動車・自動車部品 3.80%
7 UNILEVER INDONESIA TBK PT 家庭用品・パーソナル用品 3.60%
8 SURYA CITRA MEDIA PT TBK メディア・娯楽 3.40%
9 MITRA KELUARGA KARYASEHAT TB ヘルスケア機器・サービス 3.20%
10 DIGITAL MEDIATAMA MAXIMA TBK PT ソフトウェア・サービス 3.20%

 

販売手数料・信託報酬・信託財産留保額

販売手数料はに3.3%(税抜3.0%)を上限、信託報酬はファンドの純資産総額に対し、年1.925%(税抜年1.75%)。信託財産留保額は0.5%です。

新興国投信はどうしても手数料は高くなりますが、自分で現地企業を調べて株式ポートフォリオを作るわけにもいきませんので、仕方ありませんね。

 

ここまでが概要です。ファンド選びをする上で重要なポイントを見ていきましょう。

 

基準価額(チャート)、トータルリターン、シャープレシオ、標準偏差

基準価額はコロナショックで大きく凹んだ時期がありましたが、異次元の金融緩和でその後は上昇。これは世界的に同じ動きをしています。が、野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカスは回復しきっていませんね。

 

基準価額

米国は株価が回復し更なる成長を続けてしまっていますが、これはFRBがバランスシートを拡大し続けているからです。こんな異次元金融緩和は見たことがありませんが、2021年くらいからテーパリングは始まりますので、その頃に新興国のターンは本格的にくるものと思います。

 

ここからは野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカスのトータルリターン、標準偏差とシャープレシオを見ていきます。

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 29.72% 3.18% 2.31% 2.97%
標準偏差 21.76 30.35 24.89 24.43
シャープレシオ 1.37 0.11 0.09 0.12

 

トータルリターン

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 29.72% 3.18% 2.31% 2.97%

 

10年で2.97%のリターンは低いですね。直近の1年が29.72%になっていますがこれはコロナショックからのリバウンドです。

2020年のコロナショック後からの異次元の金融緩和により世界的に昨年1年はハイリターンになっていますので参考資料にはなりません。

 

しかし、2020年の大きなリターンがありながら、3年のリターンが3.18%となっており、ここ3年は優れた成績を出せていなかったことは把握できます。2018年のマイナスリターンが響いています。

 

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-12月期
2021年 1.77% 0.83%
2020年 -42.54% 33.76% -7.14% 28.22% -8.49%
2019年 6.61% -0.54% -5.57% 6.09% 6.24%
2018年 -10.19% -10.22% 3.94% 7.11% -10.24%
2017年 2.11% 3.84% -0.57% 7.73% 13.57%

 

2018年といえば、米中貿易摩擦や米利上げの悪影響や景気減速など先行きに対する懸念材料が多く、多くの投資家が株式市場から資金を抜いていきました。

ファンドはどれほど下落を軽傷で切り抜けられるか、その手腕が求められます。野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカスに関しては、下落体制に少し不安が残ります。

 

標準偏差

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
標準偏差 21.76 30.35 24.89 24.43

 

標準偏差とは、平均からのばらつきを表しますが、よく分からなければ標準偏差が大きいとリスクが高いということを覚えておいてください。

標準偏差は10年で24.43。非常に高い水準であり、値動きが激しい投資対象を選好して運用を行っていることがわかります。新興国に投資をする代表ETFのバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)ですら、標準偏差は15-18です。

リスクの高い投資先であることは理解しましょう。

 

シャープレシオ

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
シャープレシオ 1.37 0.11 0.09 0.12

 

続いて、シャープレシオを見て下さい。これはリスクに対するリターンの割合を示しています。難しければ、とりあえず1を超えていると優秀な商品だと思って下さい。

 

野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカスの場合は10年で0.12と1を大きく下回っています。つまり、とっている大きなリスクの割にはリターンが大したことが無いというのがこのファンドの特徴です。

 

指数を上回ることはできているのか?

アクティブファンドに求められるのは、「指数を超えること」です。指数を超えられないのであれば、投資家からすればインデックスに投資する以外選択肢がないわけです。

ここでは、世界有数のファンドが皆目標指数とするMSCI指数をもとに比較したいと思います。(iシェアーズ MSCI インドネシア ETF

 

ファンド名 1年 3年 5年 10年
iシェアーズ MSCI インドネシア ETF 11.18% -2.67% -1.91% -2.92%
野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカス 29.72% 3.18% 2.31% 2.97%
アムンディ・チャインドネシア株投信 23.98% 3.47% 7.32% 7.64%
アムンディ・インドネシア ファンド 7.34% -3.35% -2.67% -1.02%
イーストスプリング・インドネシア株式オープン 7.02% -6.79% -4.48% -1.46%
NNインドネシア株式ファンド 35.27% 4.94% 3.57% 3.59%

 

10年のインデックス投資対比は、当然ながら超えていますね(アムンディ・チャインドネシア株投信は比較対象が少しずれますが)。

NNインドネシア株式ファンドが一応、インドネシア投信では最も信頼が置けます。

ただ、新興国に投資をしている割にリターンは限定的ですね。

 

楽天証券/SBI証券などで買えるのか?

楽天証券でもSBI証券でも購入は不可能でした。野村証券の口座を開設する必要があります。

ネット証券に慣れている人は少し面倒ですが、野村証券口座をネットで手続きしてしまいましょう。窓口は時間がかかるので。

 

野村証券口座でもインターネットで投資信託が売買可能です。非常に便利です。しかし、便利な分、簡単にトレードできてしまうため、売るべきではないタイミングで売ってしまったり。

買うべきでないタイミングで買ってしまったりと、個人のセンスが問われるようになってしまったように思います。また売る気が無くても自分の資産が減っていく様子を見ると、人は感情的に売ってしまうものです。

それらを理解した上で、インターネット上の投資判断を行っていきましょう。

 

まとめ

野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカスは、総じてリターンがよろしくありません。

標準偏差も高く、少し不安を覚える水準であり、値動きは激しい商品であることを理解しましょう。

また、シャープレシオを見る限り、野村(ノムラ・アジア)インドネシア フォーカスは無理して投資する先ではないと思いました。もっと良い先があります。

 

これから新興国株式に追い風の時流が流れそうですが(2022年初頭頃から)、度重なる金融緩和で、人気株はすでに高値になっているようにも見えます。

新興国株投資では、まだ放置されている割安株を狙う投資戦略が今後は功を奏しそうです。

 

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(新興国分析一覧)

中国 香港 インドネシア インド カンボジア シンガポール タイ

フィリピン ブラジル ベトナム マレーシア ミャンマー ラオス 南アフリカ

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個人的には、今後より世界で名を馳せていくであろう中国市場に注目しています。

【見通し良好!】中国の経済は今後どうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!

https://indexnz.com/investment-trust-ranking/

 

 

新興国投資で投資で大きく資産を増やす投資先とは?投資対象・運用戦略・期待リターンから厳選。
新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。