インド投資信託(ファンド・ETF)

T&Dインド中小型株ファンドは儲かる?損する?投資すべきかチャートや運用成績から徹底評価する

投資できる新興国はいくつかありますが、中でもインドは人気を集めています。

 

世界第2位の人口を誇り、教育水準も高いインド経済は成長が期待されているからです。

 

インド株に簡単に投資する方法は投資信託ですが、どの投資信託に投資すべきか悩んでいる方も多いでしょう。

 

そこで、今回はT&Dインド中小型株ファンドについて儲かるのか、損するのか、その投資価値について分析していきます。

 

また、インド株式市場全体に関する詳細はこちらをご一読ください。

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T&Dインド中小型株ファンドの特徴とは

T&Dインド中小型株ファンドの仕組み

参照:交付目論見書

 

T&Dインド中小型株ファンドはファンド・オブ・ファンズ方式での運用です。直接、インドの株式等に投資する訳ではなく間に一つファンドを挟んでいます。

 

実際に投資するファンドは「ライジング・インディア・フォーカス・ファンド・リミテッド アイプロ・インド中小型株ファンド(米ドル建) 」となっており、投資助言会社の助言をもとに アイプロ・ファンド・マネジメント・リミテッド(所在地 : モーリシャス) が運用を行います。

 

実際の運用者とは

◆投資顧問会社「アイプロ・ファンド・マネジメント・リミテッド(所在地 : モーリシャス)」

◆投資助言会社「インベスコ・アセット・マネジメント(インド)プライベート・リミテッド(所在地 : インド)」

 

具体的な運用手法とは

それでは、彼らは具体的にどんな手法で資産運用しているのでしょうか。銘柄を絞り込む方法はこちらです。

 

参照:交付目論見書

 

T&Dインド中小型株ファンドではボンベイ証券取引所に上場する銘柄の内、時価総額の順位にて大型株、中型株、小型株を分けています。

 

大型株 時価総額 上位100社
中型株 時価総額 上位101~250社
小型株 時価総額 251位以下

 

そして、中小型株の中から企業分析や市場環境分析を行い銘柄を選定していきます。

 

その結果どのような銘柄に投資しているのでしょうか。

 

投資先銘柄トップ10

T&Dインド中小型株ファンドの組入れ上位10銘柄はこちらです。

 

銘柄 業種 比率
1 SUNDRAM FASTENERS LTD 自動車・自動車部品 3.7%
2 Cholamandalam Investment and Finance Co Ltd 各種金融 3.6%
3 FEDERAL BANK LTD 銀行 3.3%
4 Ashok Leyland Limited 資本財 3.3%
5 TIMKEN INDIA LTD 資本財 3.3%
6 ROLEX RINGS LIMITED 資本財 3.3%
7 ICICI BANK Ltd 銀行 3.1%
8 Indian Bank. 銀行 3.0%
9 UNO MINDA LIMITED 自動車・自動車部品 3.0%
10 Balkrishna Industries Ltd 自動車・自動車部品 2.9%

 

インド株の投資信託では、銀行やITが上位に来るファンドが多いです。しかし、T&Dインド中小型株ファンドでは自動車関連や資本財が多くなっているのが特徴です。

 

資本財 18.6%
銀行 17.3%
自動車・自動車部品 13.9%
素材 9.7%
医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス 7.1%
各種金融 4.8%
耐久消費財・アパレル 4.8%
食品・飲料・タバコ 4.6%
公益事業 3.5%
ソフトウェア・サービス 3.2%
その他の業種 11.6%

 

こちらは業種別の組み入れ比率ですが、ポートフォリオ全体で見ても資本財が一番多く、次いで銀行、自動車・自動車部品という順になっています。

 

モディ政権では製造業に力を入れていくことを宣言しているため、政策を意識したポートフォリオだと言えます。

 

運用効率が悪い分配金

ここで分配金についても確認しておきましょう。投資信託には「分配金あり」のものと「分配金なし」のものがありますが、基本的に「分配金なし」の方が良いです。

 

資産運用では複利で運用することで爆発的に運用効率が上昇しますが、「分配金あり」だとそのメリットが失われてしまうからです。

 

それでは、T&Dインド中小型株ファンドはどうでしょうか。

 

参照:月次レポート

 

1年に2回分配のあるタイプで直近でも分配実績があります。設定来の累計では15,500円分配されており、運用効率が大きく阻害されています。

 

投資家にとって分配するメリットはありませんので減点評価せざるを得ないポイントです。

 

手数料は高いのか!?

続いて手数料についても見ていきましょう。

 

まず、投資信託には3つの手数料があります。

 

  1. 購入する際の手数料
  2. 保有している間の手数料
  3. 解約する際の手数料

 

①~③の手数料がありますが、これらのうちどの手数料がいくらかというのは投資信託ごとに異なります。ファンドによってはゼロの場合もあります。

 

では、T&Dインド中小型株ファンドの手数料はどうでしょうか。新興国に広く分散して投資する投資信託「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」と比較してみましょう。

 

T&Dインド中小型株ファンド eMAXIS Slim新興国株式インデックス
購入時の手数料 3.3% なし
保有時の手数料 年2.051% 年率0.1870%
解約時の手数料 0.3% なし

 

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは特に手数料が安いファンドなのですが、それとは関係なくT&Dインド中小型株ファンドの手数料は高いです。

 

手数料は、購入時、保有時、解約時それぞれの単体で見ても高いです。3つを合計するとさらに高い手数料水準となります。

 

ですが、高い手数料でも結果が出てれば問題はありません。という訳で運用成績について見ていきましょう。

 

T&Dインド中小型株ファンドの運用成績とは

設定来の推移

 

こちらがT&Dインド中小型株ファンドの設定来の推移です。赤色の線が基準価格で長期で見るとほぼ横ばいとなっています。

 

青色の分配金再投資基準での基準価格は長期で右肩上がりとなっていますが、詳細はこれだけでは分からないので数字でも見ていきましょう。

 

データで見る運用成績

データでみる過去10年分の運用成績はこちらです。

 

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 7.26% 11.50% 4.68% 12.96%
標準偏差 18.10 26.51 23.99 23.94
シャープレシオ 0.40 0.43 0.20 0.54

 

過去1年の運用成績は7.26%、過去3年の運用成績は11.50%となっています。

 

10年(年率)で見ると12.96%となっています。こちらも二ケタとなっておりいいように見えますがシャープレシオを見て下さい。

 

シャープレシオとは

リスクに対するリターンの割合
数字が大きいと運用効率が良く、数字が小さいと運用効率がわるいことを意味する。一般的には1を超えると良いファンドとされる。

シャープレシオは0.54と1を大きく下回っており、ハイリスクにもかかわらずそこまでのリターンを得られていないことを示しています。

 

これだけのリスクを取るのであれば、24%以上のリターンを得られてはじめて優秀だと言えます。

 

手数料が高いにもかかわらず、見てきたような運用成績であることを考えると、わざわざT&Dインド中小型株ファンドを選ぶ理由はないと言えます。

 

まとめ

T&Dインド中小型株ファンドについてのまとめはこちらです。

 

  • 中小型株を主対象として投資
  • ポートフォリオ上位は素材や資本財業界
  • 分配金があるため運用効率が悪い
  • 手数料は非常に高い水準
  • ハイリスクの割にリターンは得られていない

 

残念ながら新興国投資をする上で、わざわざT&Dインド中小型株ファンドを選ぶ理由はありません。

 

他に良い投資先はありますのでそちらの方がおすすめです。

 

筆者が各国のファンドを分析した結果、おすすめファンドをランキングにしてますのでぜひそちらを参考にしてみて下さい。

 

ファンドランキングは下記より見れますのでご一読いただければ幸いです。

 

新興国投資で投資で大きく資産を増やす投資先とは?投資対象・運用戦略・期待リターンから厳選。
新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。