インドネシア投資信託(ファンド・ETF)

NNインドネシア株式ファンドの評判とは?インドネシア株投資信託の魅力を徹底評価する

インドネシアは今後成長が期待される新興国として注目を集めています。

 

インドネシア株に投資するには証券会社を通して個別銘柄に投資する方法もありますが、一番簡単なのは投資信託を購入する方法です。

 

今回は「NNインドネシア株式ファンド」についてその投資魅力や内容について解説していきます。

 

また、インドネシア株式市場全体についての解説はこちらをご参照ください。

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NNインドネシア株式ファンドの特徴とは

NNインドネシア株式ファンドの仕組み

参照:交付目論見書

 

NNインドネシア株式ファンドはファミリーファンド方式で運用を行います。ファミリーファンド方式とは投資家からの資金をまとめてベビーファンドとし、それらをマザーファンドに投資することで実質的な運用を行う仕組みです。

 

NNインドネシア株式ファンドの委託会社(=運用を指図する者)は、NNインベストメント・パートナーズ株式会社ですが、こちらが実質的な運用を行う訳ではありません。

 

マザーファンドの運用はライオン・グローバル・インベスターズ・リミテッドが行っており、こちらが実質的な運用者となっています。

ライオン・グローバル・インベスターズ・リミテッドとは

OCBC銀行グループに属する東南アジア最大級の資産運用会社。

※OCBC銀行・・・オーバーシー・チャイニーズ銀行。シンガポールの大手金融グループで19の国や地域で事業を展開する。

 

投資先銘柄トップ10

投資先はインドネシア株ですが、具体的にはどのような銘柄に投資しているのでしょうか。

 

組入れ上位10銘柄を見てみましょう。

 

2023年2月28日時点

銘柄 比率 概要
バンク・ラヤット・インドネシア 8.0 1895年設立とインドネシアで最も古い歴史を持つ銀行。中小企業向け融資に強く、イスラム法に基づいた銀行業務も行う。
バンク・セントラル・アジア 7.8 個人・中小企業取引などに強みを持つ大手商業銀行。インドネシアを拠点に金融サービスを展開。証券管理や事務代行、信託業務、年金基金管理も展開。
テレコムニカシ・インドネシア 6.9 インドネシア最大の通信会社。携帯電話や固定電話、インターネッドなど幅広いサービスを提供。
バンク・マンディリ 6.6 インドネシア最大級の国営商業銀行。4行が合併して設立。リテール顧客・法人向けサービス、コーポレートバンキングなどを提供。
ゴートゥー 4.9 大手のインターネット企業。物流やEコマース、金融などのビジネスを手掛ける。
アストラ・インターナショナル 4.7 自動車メーカー大手。トヨタ、BMWなど国際的な自動車メーカーと提携し、自動車や二輪車部品の組み立て・販売を行う。その他鉱業や農業、金融サービス、ITなどの事業も展開。
メルデカ・コッパ―・ゴールド 3.2 2012年に設立されジャカルタに本拠を置く鉱山会社。主に金や銀、鋼を採掘。
カルベ・ファルマ 2.4 インドネシア大手の医薬品メーカー。処方薬、一般医薬品、健康・栄養食品、流通の4部門をコア事業とする。
バリト・パシフィック 2.3 主に発電事業や石油化学事業を手掛ける。また、オフィスビルや工業団地といった不動産関連事業も展開。
ブカラパック 2.0 インドネシア大手の通販企業。ECやオンラインとオフラインの連携強化に尽力。

 

金融やITが多くランクインしてますね。全体の比率で見るとこちらです。

 

参照:交付目論見書

 

金融が最も多く28.4%次いで生活必需品、インフラという構成になっています。新興国を対象とした投資信託では割と一般的な構成だと言えます。

 

また、組入れ銘柄数は80となっており、かなり多いのが特徴です。組み入れている銘柄が多いと、値動きが小さくなりやすいので、損失が小さくなり利益も小さくなる傾向にあります。

 

運用効率が悪い分配金

また、ここで分配金についても確認しておきましょう。

 

投資信託には「分配金あり」と「分配金なし」のものがありますが、「分配金なし」の方が最終的に得られる利益は大きいです。

 

なぜなら分配してしまうと、運用にあてる資金が減り、本来得られるはずの利益が失われてしまうからです。

 

それでは、NNインドネシア株式ファンドはどちらに該当するでしょうか。

 

参照:交付目論見書

 

残念ながら「分配金あり」の投資信託でした。これまでに累計10,000円分配しており、運用効率の悪化を招いている点は大きな減点評価です。

 

手数料は高い?安い?

続いて手数料はどうなっているでしょうか。

 

まず、投資信託の手数料の種類を確認しておきましょう。

 

  1. 購入する際の手数料
  2. 保有している間の手数料
  3. 解約する際の手数料

 

こちらの3種類です。ただし、どの投資信託でも3種類全てかかるという訳ではなく、①や③の手数料はかからないこともあります。

 

では、NNインドネシア株式ファンドの手数料はどうでしょうか。新興国に投資する投資信託「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」と比較してみましょう。

 

NNインドネシア株式ファンド eMAXIS Slim新興国株式インデックス
購入時の手数料 3.85% なし
保有時の手数料 年1.87% 年率0.1870%
解約時の手数料 0.5% なし

 

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは特に手数料が安いファンドなのですが、それとは関係なくNNインドネシア株式ファンドの手数料は高いです。

 

購入時の手数料3.85%と解約時の手数料0.5%は投資信託の中でもトップレベルに高いです。さらに、保有時の手数料1.87%も高い部類に入ります。

 

3つを合計すると、NNインドネシア株式ファンドの手数料は非常に高いと言えます。

 

では「手数料が高い」=「選んではだめな投資信託」かというとまだ断言はできません。成果が伴っていれば問題ありませんので、運用成績についても見ていきましょう。

 

NNインドネシア株式ファンドの運用成績とは

設定来の推移

参照:交付目論見書

 

設定来の運用成績がこちらです。

 

分配金再投資基準の基準価格は長期で見ると右肩上がりで成長していますが、実際には分配金を出しているため、基準価格はほぼ横ばいです。

 

これだけではよく分からないので数字でも細かく見ていきましょう。

 

データで見る運用成績

過去10年間の運用成績はこちらです。

 

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 12.56% 15.97% 5.80% 4.68%
標準偏差 20.20 29.33 26.20 23.62
シャープレシオ 0.62 0.54 0.22 0.20

 

過去1年の運用成績は12%と好調に見えますし、3年~10年もそれぞれプラスとはなっていて悪くないようにも見えますね。

 

ですが、リターンだけを見ずに、シャープレシオも合わせてチェックしてみてください。

 

シャープレシオとは・・・リスクに対するリターンの割合

数字が大きければ運用効率が良く、数字が小さければ運用効率が悪い。一般的には1をこえると優秀と言われる。

 

10年のシャープレシオを見ると0.20となっていて1を大きく下回っています。これは非常に低い水準で、NNインドネシア株式ファンドはとっているリスクの割に全くリターンを得られていない事を示しています。

 

このリスク水準であれば24%以上の利益が得られてはじめて優秀なファンドだと言えます。

 

手数料が高くリスクも高いのに、それに見合ったリターンを得られていないというのがNNインドネシア株式ファンドの結論です。

 

まとめ

NNインドネシア株式ファンドについてのまとめはこちらです。

 

  • 実質的な運用者はライオン・グローバル・インベスターズ・リミテッド
  • 運用効率が悪い「分配金あり」の投資信託
  • 手数料は投資信託の中でもトップレベルに高い
  • リスクも非常に高い
  • それにもかかわらず運用成績は奮わない

 

結論としては、NNインドネシア株式ファンドに投資魅力はありません。

 

新興国投資でハイリターンを狙うなら、他の魅力的なファンドをおすすめします。筆者が世界各国に投資するファンドを分析した結果、優良ファンドをランク付けしてますのでそちらを参考にして頂ければ幸いです。

 

投資先ファンドをお探しの方はぜひ下記より確認してみて下さい。

 

新興国投資で投資で大きく資産を増やす投資先とは?投資対象・運用戦略・期待リターンから厳選。
新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。