インドネシア投資信託(ファンド・ETF)

アムンディ・チャインドネシア株投信 (チャイン)は評判通りの利回りを出してくれるのか?中国・インド・インドネシアのハイブリッド投信はMSCI指数をオーバーパフォーム?

アムンディ・チャインドネシア株投信 (チャイン)は評判通りの利回りを出してくれるのか?中国・インド・インドネシアのハイブリッド投信はMSCI指数をオーバーパフォーム?

投資をする上で、全てを安全資産で運用することは悪くありませんが、一部を少々リスクの高い投資対象に振ることで、最大リターンを高める努力もしていきたいものです。そんな時に、「新興国投資」が視野に入ってきます。

新興国の中でも、中国、インド、インドネシアは今後成長が期待される国として注目を集めています。

これらの成長著しい国の株を投資するには証券会社を通して個別銘柄に投資する方法もありますが、一番簡単なのは投資信託を購入する方法です。

インド、中国、インドネシアの経済状況など基本的なマーケット情報は以下の記事で解説しています。

>> インドネシア株はやめておけ!新興国投資の中でもおすすめできない理由を解説する

>> 中国の経済は今後どうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!

>> 経済成長にだまされるな!インド株投資がオワコンでおすすめしない理由を解説する

 

今回は3カ国に分散投資をする「アムンディ・チャインドネシア株投信」についてその投資魅力や内容について解説していきます。

 

アムンディ・チャインドネシア株投信の特徴とは?

細かい詳細は「アムンディ・チャインドネシア株投信」の目論見書を読むのが早いでしょう。この記事ではポイントのみに焦点を当てていきます。

簡単な概要としては、「アムンディ・チャインドネシア株投信」は、主要投資対象として中国、インド、インドネシアの企業または当該各国で主な事業を展開する企業の上場株式等としています。

基本配分比率は原則として3分の1ずつ、定期的にリバランスを行います。ファンズオブファンズ形式です。

 

とにかく中国、インド、インドネシアの成長性の高い株を買っていくファンドです。運用は「アムンディ・ジャパン株式会社」です。HPのトップに大きくESG投資と掲載されており、サステイナビリティにフォーカスしているアセットマネジメント会社であるというメッセージを感じます。

「アムンディ・ジャパン株式会社」はアムンディ・チャインドネシア株投信の他、SMBC・アムンディ クライメート・アクション、アムンディ・アラブ株式ファンド、アムンディ・USインカム・エクイティ・ファンド(毎月決算型)など世界中に商品を展開しています。

筆者としては調べるのが初めてのアセットマネジメント会社なので、運用リターンがとても気になっています。

 

運用プロセス(ポートフォリオ構築プロセス)は、以下の通りです。と言ってもファンズ・オブ・ファンズです。個人的にファンズオブファンズは好きではありません。そもそも高い手数料のファンドを、仲介人を増やしてさらにコストがかかってくるからです。

基本的に、プライベートバンクに口座のある投資家や機関投資家が安い手数料で買っているファンドを買うことになるパターンがほとんどではないかと思います。リターンさえ出れば文句はないのですが、それは後半お楽しみということで。

 

我々のような個人投資家は、アムンディ・チャインドネシア株投信を通してインドネシア株式サブファンド、中国株式サブファンド、インド株式サブファンドを購入することになります。

ベンチマークは世界中の一流ファンドが目標指標にしているMSCI指数ですので、信頼が置けます。アウトパフォームできているのでしょうか?

 

 

「アムンディ・チャインドネシア株投信」の規模は2021年7月末時点で44.34億円です。小規模ファンドですね。

組み入れ銘柄(ポートフォリオ)

2020年末の情報となり恐縮なのですが、資産配分は以下の通りです。公約通り30%ずつですね。

資産 純資産比(%)
中国株式サブファンド 31.9
インド株式サブファンド 33.6
インドネシア株式サブファンド 32.5
現金・その他 2.0

 

組み入れ銘柄は以下の通りです。大手企業で固まっていますね。国営企業の面々が揃います。中国もテンセント、アリババは王道ですね。

<中国>

銘柄名 業種 組入
比率(%)
テンセント・
ホールディングス
コミュニケーション・
サービス
12.9
アリババ・グループ・
ホールディング
一般消費財・
サービス
9.1
AMUNDI
CHINA A I-ACC
投資信託 4.8
メイトゥアン・
ディエンピン
一般消費財・
サービス
4.7
中国建設銀行 金融 3.4

中国ファンドはアムンディ・チャインドネシア株投信以外でも取り上げていますので参考にしてください。

>>>中国投資信託(ファンド・ETF)

 

<インド株式サブファンド>

銘柄名 業種 組入
比率(%)
インフォシス 情報技術 8.3
リライアンス・
インダストリーズ
エネルギー 7.5
バーティ・エアテル コミュニケーション・
サービス
6.3
HDFC銀行 金融 5.8
ICICI銀行 金融 5.4

インドファンドもアムンディ・チャインドネシア株投信以外でも取り上げていますので参考にしてください。

>>>インド投資信託(ファンド・ETF)

 

<インドネシア株式サブファンド>

銘柄名 業種 組入
比率(%)
バンク・セントラル・
アジア
金融 23.9
バンク・ラヤット・
インドネシア
金融 17.3
テレコムニカシ・
インドネシア
コミュニケーション・
サービス
12.0
アストラ・
インターナショナル
一般消費財・
サービス
8.2
バンク・マンディリ 金融 6.8

 

インドネシア、インド、中国ファンドのそれぞれのポートフォリオを見ても王道中の王道です。新興国投信ですから、それでもリスクは高いのだと思いますが。

 

販売手数料・信託報酬・信託財産留保額

販売手数料はに3.3%(税抜3.0%)を上限、信託報酬はファンドの純資産総額に対し、年率1.265% (税抜 1.15%)。信託財産留保額は0.3%です。

新興国投信はどうしても手数料は高くなりますが、自分で現地企業を調べて株式ポートフォリオを作るわけにもいきませんので、仕方ありませんね。

ここまでが概要です。ファンド選びをする上で重要なポイントを見ていきましょう。

 

基準価額(チャート)、トータルリターン、シャープレシオ、標準偏差

基準価額はコロナショックで大きく凹んだ時期がありましたが、異次元の金融緩和でその後は上昇。これは世界的に同じ動きをしています。ひとまず基準価額に大きな問題点は見られません。

基準価額

米国は株価が回復し更なる成長を続けてしまっていますが、これはFRBがバランスシートを拡大し続けているからです。こんな異次元金融緩和は見たことがありませんが、2021年くらいからテーパリングは始まりますので、その頃に新興国のターンは本格的にくるものと思います。

そんな中でアムンディ・チャインドネシア株投信は回復した上で上昇を続けていますね。中国株が牽引している面が強そうです。

 

ここからは、アムンディ・チャインドネシア株投信のトータルリターン、標準偏差とシャープレシオを見ていきます。

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 23.98% 3.47% 7.32% 7.64%
標準偏差 14.71 22.3 18.06 19.26
シャープレシオ 1.63 0.16 0.41 0.4

 

 

トータルリターン

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 23.98% 3.47% 7.32% 7.64%

 

10年で7.64%のリターンです。まずまずですね。直近の1年が23.98%になっていますがこれはコロナショックからのリバウンドです。

2020年のコロナショック後からの異次元の金融緩和により世界的に昨年1年はハイリターンになっていますので参考資料にはなりません。

しかし、2020年の大きなリターンがありながら、3年のリターンが3.47%となっており、ここ3年は優れた成績を出せていなかったことは把握できます。2018年のマイナスリターンが響いています。

 

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-12月期
2021年 9.22% 1.31%
2020年 -28.53% 17.58% 2.84% 17.05% 1.15%
2019年 8.01% -0.77% -2.54% 8.07% 12.88%
2018年 -7.83% -3.95% -2.13% -3.41% -16.32%
2017年 8.61% 6.74% 4.16% 8.08% 30.51%

 

2018年といえば、米中貿易摩擦や米利上げの悪影響や景気減速など先行きに対する懸念材料が多く、多くの投資家が株式市場から資金を抜いていきました。

ファンドはどれほど下落を軽傷で切り抜けられるか、その手腕が求められます。アムンディ・チャインドネシア株投信に関しては、下落体制に少し不安が残ります。

 

標準偏差

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
標準偏差 14.71 22.3 18.06 19.26

 

標準偏差とは、平均からのばらつきを表しますが、よく分からなければ標準偏差が大きいとリスクが高いということを覚えておいてください。

アムンディ・チャインドネシア株投信の標準偏差は10年で19.26。非常に高い水準であり、値動きが激しい投資対象を選好して運用を行っていることがわかります。新興国に投資をする代表ETFのバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)ですら、標準偏差は15-18です。

リスクの高い投資先であることは理解しましょう。

 

シャープレシオ

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
シャープレシオ 1.63 0.16 0.41 0.4

 

続いて、シャープレシオを見て下さい。これはリスクに対するリターンの割合を示しています。難しければ、とりあえず1を超えていると優秀な商品だと思って下さい。

 

アムンディ・チャインドネシア株投信の場合は10年で0.4と1を大きく下回っています。つまり、とっている大きなリスクの割にはリターンが大したことが無いというのがこのファンドの特徴です。

 

指数を上回ることはできているのか?

アクティブファンドに求められるのは、「指数を超えること」です。指数を超えられないのであれば、投資家からすればインデックスに投資する以外選択肢がないわけです。

アムンディ・チャインドネシア株投信の場合は中国、インド、インドネシアと3ヶ国入っていますので、ここではその3国のMSCI指数で比べてみようと思います。

MSCIはここでは、世界有数のファンドが皆目標指数とする指数です。

 

ファンド名 1年 3年 5年 10年
iシェアーズ MSCI インドネシア ETF 11.18% -2.67% -1.91% -2.92%
iシェアーズ MSCI インディア ETF 37.73% 7.76% 9.09% 4.46%
iシェアーズ MSCI チャイナ ETF 0.52% 5.29% 11.95% 5.655
アムンディ・チャインドネシア株投信 23.98% 3.47% 7.32% 7.64%

 

3つのETFを合算してリターンを計算しようと思いましたが、各インデックスファンドにしっかりと勝利していましたのでこれで十分だと思います。アクティブファンドとして、アムンディ・チャインドネシア株投信はかなり優秀ですね。

 

楽天証券/SBI証券などで買えるのか?

楽天証券でもSBI証券でも購入は不可能でした。野村証券の口座を開設する必要があります。

ネット証券に慣れている人は少し面倒ですが、野村証券口座をネットで手続きしてしまいましょう。窓口は時間がかかるので。

野村証券口座でもインターネットで投資信託が売買可能です。非常に便利です。しかし、便利な分、簡単にトレードできてしまうため、売るべきではないタイミングで売ってしまったり。

買うべきでないタイミングで買ってしまったりと、個人のセンスが問われるようになってしまったように思います。また売る気が無くても自分の資産が減っていく様子を見ると、人は感情的に売ってしまうものです。

それらを理解した上で、インターネット上の投資判断を行っていきましょう。

 

まとめ

アムンディ・チャインドネシア株投信は、総じて悪くないリターンではあります。

しかし、標準偏差も高く、少し不安を覚える水準であり、値動きは激しい商品であることを理解しましょう。

また、シャープレシオを見る限り、アムンディ・チャインドネシア株投信は無理して投資する先ではないと思いました。もっと良い先があります。

これから新興国株式に追い風の時流が流れそうですが(2022年初頭頃から)、度重なる金融緩和で、人気株はすでに高値になっているようにも見えます。

新興国株投資では、まだ放置されている割安株を狙う投資戦略が今後は功を奏しそうです。

 

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(新興国分析一覧)

中国 香港 インドネシア インド カンボジア シンガポール タイ

フィリピン ブラジル ベトナム マレーシア ミャンマー ラオス 南アフリカ

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個人的には、今後より世界で名を馳せていくであろう中国市場に注目しています。

【見通し良好!】中国の経済は今後どうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!

https://indexnz.com/investment-trust-ranking/

 

新興国投資で投資で大きく資産を増やす投資先とは?投資対象・運用戦略・期待リターンから厳選。
新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。