このように考えてインドネシア株に注目している人も多いのではないでしょうか。
確かにハイリターンを狙うなら新興国投資はベストな運用手法です。ですが、新興国なら何でもいいという訳ではありません。
結論から言うとインドネシア株はあまりおすすめできません。その理由を解説した上で、魅力的な新興国についても紹介していきたいと思います。
インドネシアはどんな国?
インドネシアの基本情報
そもそもインドネシアとはどんな国なのでしょうか。基本的な情報はこちらです。
国名 | インドネシア共和国 Republic of Indonesia |
---|---|
面積 | 192万平方キロメートル |
人口 | 2.7億人 |
首都 | ジャカルタ |
民族 | マレー民族が主 |
言語 | インドネシア語 |
宗教 | イスラム教(86.69%)、キリスト教(10.72%) |
名目GDP | 1兆1191億ドル(2019年) |
1人当たり名目GDP | 4174ドル(2019年) |
経済成長率 | 5.02%(2019年) |
国土は192万平方キロメートルと広く日本の5倍の広さを誇っています。人口も多く2.7億人ですので、日本の2倍以上です。
フィリピンと共にバリなどリゾートへ旅行者が毎年訪れます。
名目GDPは1兆1191億ドルかなり多くなっており、世界ランキングで見ても第16位と高い水準です。ですが、これは人口が多いためであり、1人当たり名目GDPで見ると4174ドルとかなり小さくなっていてこれは世界第118位の水準です。
一人当たりGDPが1500-2000ドル程度が今後の経済成長の爆発力が期待される水準ですが、インドネシアはすでにそこを超えて4000ドル台と、第二のフェーズを迎えています。
今後もまだまだ伸び代がある国とも言えるでしょう。
順位(世界) | 名称 | 単位: USドル | 前年比 | 地域 |
1位(7位) | シンガポール | 59,794.60 | 1 | アジア |
2位(15位) | 香港 | 46,657.20 | 1 | アジア |
3位(24位) | 日本 | 40,088.60 | 1 | アジア |
4位(27位) | マカオ | 35,621.46 | -3 | アジア |
5位(28位) | 韓国 | 31,638.46 | - | アジア |
6位(31位) | 台湾 | 28,358.30 | 1 | アジア |
7位(34位) | ブルネイ | 26,061.00 | -1 | アジア |
8位(62位) | 中国 | 10,511.34 | 2 | アジア |
9位(63位) | マレーシア | 10,231.34 | - | アジア |
10位(67位) | モルディブ | 9,888.65 | -2 | アジア |
11位(83位) | タイ | 7,187.86 | - | アジア |
12位(114位) | インドネシア | 3,921.62 | 1 | アジア |
13位(115位) | モンゴル | 3,916.09 | -1 | アジア |
14位(119位) | スリランカ | 3,681.55 | - | アジア |
15位(122位) | ベトナム | 3,522.51 | 1 | アジア |
インドネシアはASEANの加盟国
また、インドネシアはASEAN(Association of South‐East Asian Nations)に加盟しています。
東南アジア10カ国からなる東南アジア諸国連合。加盟国やその他のアジアの国々と政府間協力を促し、経済、政治、教育、安全保障などの分野での統合を促進している。
ASEANの加盟国は全部で10か国です。
ASEANの加盟国10か国
インドネシア/カンボジア/シンガポール/タイ/フィリピン/ブルネイ/ベトナム/マレーシア/ミャンマー/ラオス
https://indexnz.com/phillipine-stock-2/
ASEANの経済成長率は著しく、2015年以降約5%の経済成長率を維持しています。
ASEANの経済成長率
2015年 | 4.7% |
---|---|
2016年 | 4.8% |
2017年 | 5.3% |
2018年 | 5.2% |
インドネシアを含めたASEANが順調に成長しているのは良い傾向です。
それでは、今後もインドネシアは順調に経済成長していくのでしょうか。インドネシア経済について見ていきましょう。
インドネシア経済について
人口推移からみるインドネシアの経済成長
新興国の経済発展には人口が増えていくことが重要な要素です。インドネシアの人口が今後どうなっていくか考えてみましょう。
インドネシアの人口動態はこちらです。
参照:世界の人口ピラミッド
きれいなつりがね型となっていて若い人が多い人口構成となっています。人口が増加していくことが予想され、人口シミュレーションでは2067年まで増加し続けていく予定です。
参照:世界の人口ピラミッド
2067年まで増加するということは、あと45年以上、増加し続けていくということです。
人口に関してはほぼ「確定」された未来ですので、2067年のピークをつけるまでは余程のことがない限り成長は継続すると思います。「人口」はパワーです。
さらに、人口はもともと2.7億人と非常に多かったのが3億3千万人に達する予想です。この人口の多さはインドネシア経済にとって極めて大きな強みとなっています。
インドネシアの産業とは
続いてインドネシアの産業について見てみましょう。
もともとインドネシアでは石油・天然ガスからスズやニッケルなどの鉱物資源、さらには天然ゴムなども採れるため鉱物資源や農水産物が主力の産業でした。
1990年代に入ると工業化が進み第二次産業が発展してGDPの40%を占める程に成長しました。特に自動車やオートバイの製造が盛んで日経製造企業が多く活躍しています。
そして、近年では運輸や通信などの第三次産業がのびており今やGDPの50%以上を占めるほどの急成長を見せています。
では、近年のインドネシアの経済成長率をみてみましょう。
参照:ニッセイ基礎研究所 インドネシア経済:21年4-6月期の成長率は前年同期比+7.07%~成長率はベース効果で急上昇、今後は感染第2波による内需の冷え込みが懸念
2016年以降、安定して5%程度で経済成長しており、2020年はコロナショックで落ち込みました。
特に第二次産業、第三次産業の落ち込みが大きかったですが、2021年には両者とも回復しプラスに転じています。
2021年以降のインドネシアの実質GDP成長率はこちらです。
2019年 | 5.0% |
---|---|
2020年 | -2.1% |
2021年 | 3.7% |
2022年 | 5.3% |
コロナショックからも回復し、インドネシアは今後も経済成長していくことが予想されています。
ただ経済面だけを見て、インドネシアに投資判断をしてはいけません。続いて株式市場も見ていきましょう。
インドネシア株式市場について
まずはインドネシアの証券取引所について確認してみましょう。
インドネシアに証券取引所が設立されたのは1912年と古いのですが、数十年間停滞しており2007年にスラバヤ証券取引所とジャカルタ証券取引所が統合してインドネシア証券取引所が誕生しました。
インドネシア証券取引所の規模を確認するために他の東南アジア諸国と比較してみましょう。
インドネシア証券取引所 | ラオス証券取引所 | タイ証券取引所 | |
上場銘柄数 | 740銘柄 | 11銘柄 | 743銘柄 |
時価総額 | 53兆円 | 904億円 | 58兆円 |
インドネシア証券取引所には740銘柄が上場していて、時価総額は53兆円に上ります。
東南アジア諸国の他の国では、現実的に投資するのが難しいくらい市場規模が小さい国もありますが、インドネシアは十分大きな株式市場となっています。
インドネシアは経済成長にも期待できそうですし、株式市場の規模も申し分ありません。
では、すぐに投資して良いかというとまだ確認しなければならないことがあります。続いて新興国投資の条件を見ていきましょう。
有望な新興国の見つけ方
新興国投資の条件
新興国に投資する際には、下記の3つの条件を確認することが重要です。
①国が経済成長していくか
②投資可能な株式市場があるか
③株価が割安かどうか
ここまでインドネシアは、
①国が経済成長していくか
②投資可能な株式市場があるか
の条件を満たしていることは確認できました。
ただやはり投資である以上、③の株価が割安な条件で買うことは必須です。いくらいい株でも高値で買ったら損してしまうだけです。
インドネシア株が割安なのかチェックしていきましょう。
インドネシア株は割安なのか
株価が割安かどうかは、代表的な指標PERを使って判断していきましょう。
(株価)÷(一株当たり純利益)
数字が大きければ株価は割高で、数字が小さければ株価は割安であることを示す。
世界各国 のマーケットのPERを比較した結果はこちらです。
2023年2月
米国 | 20.3 |
---|---|
インドネシア | 14.8 |
エマージング国 | 11.7 |
日本 | 12.9 |
中国 | 11.5 |
人気が集中していて米国のPERは20.3と圧倒的に大きいですが、その他はインドネシア14.8、エマージング国11.7、日本12.9、中国11.5となっていてインドネシアが一番大きいことが分かります。
世界的に見るとインドネシアは割高な水準となっています。また、現在の水準を過去のインドネシアの水準とも比較してみましょう。
インドネシアのPER比較
2023年2月 | 14.8 |
---|---|
2022年7月 | 16.5 |
2021年7月 | 19.4 |
2020年7月 | 13.4 |
2019年7月 | 17.4 |
2018年7月 | 16.9 |
14.8は比較的、インドネシアの中では安めな水準ではありますが、それでも他国と比べると割高です。
例えばインドネシア14.8が他のエマージング国の11.8の水準まで下がったとしましょう。
これは、1000万円の株が800万円まで下落してしまう事を意味します。
つまり、インドネシア株は会社の業績が変わらずにいきなり株価が20%以上、下落したとしても不思議ではないのです。
確かに、インドネシアは経済成長の期待もありますし、株式市場も十分大きい規模です。しかし、現在はかなり割高な水準ですのでインドネシア株への投資はおすすめできません。
それでもどうしてもインドネシアに投資したい方は個別の投資信託の解説記事もありますのでそちらも参考にしてみて下さい。
新興国でおすすめの投資先は○○!
結論から申し上げると、今から投資するのであれば中国株がおすすめです。
→ 中国株式市場は割安で投資する機会が到来!A株、B株、香港H株、レッドチップなどの違いについてもわかりやすく解説する。
中国は今や世界第2位の経済大国ですが、今後ますます成長していき2028年には世界トップになると言われています。
そして、インドネシアをはじめとして他の新興国と異なる点として自国に高付加価値産業が育成されているという点があります。
インドネシアなどは自国の産業がないので、経済成長して所得があがっても日本の自動車を購入したりiPhoneやGalaxyを購入します。つまり、先進国の企業の利益に貢献してしまうので、自国企業の利益が上昇しにくいのです。
しかし、中国は米国の製品やサービスに規制をかけ、Bidu、アリババ、テンセント、Huaweiや電気自動車で存在感を増大させつづけています。つまり自国の経済が発展した際の果実を自国企業に吸収させることが可能なのです。
そして、株価は成長する企業とは裏腹に非常に割安な水準に放置されています。
PER比較
米国(2023年2月) | 20.3 |
---|---|
インドネシア(2023年2月) | 14.8 |
中国(2023年2月) | 11.8 |
更に世界各国がインフレに対応するために金融引き締めを行なっている最中にあって、中国はロックダウン解除に伴い景気を引き上げるために金融緩和を実行しています。
まさに、本格的なバブル相場を迎える条件が整っているのです。バブルといえば日本の1980年代後半を思い浮かべますが、まさに経済水準も当時の日本と同じ点も期待できるところです。
以下では筆者が投資をしている年率50%以上も狙えるファンドを含めておすすめの中国ファンドを紹介していますのでご覧ください!
皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。
経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。
一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。
青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体
強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。
そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。
また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。