インド投資信託(ファンド・ETF)

高成長インド・中型株式ファンドの今後の見通しは魅力的?評判や口コミやリターンを含めて徹底評価!

新興国株式投資をするなら投資信託を通して運用を行うのも一つの手です。

インド株に投資する投資信託も種類がありますが、「高成長インド・中型株式ファンド」は知名度もありメジャーな商品なので選択肢の一つに入ってくるのではないでしょうか。

では、「高成長インド・中型株式ファンド」は運用先として信頼に足る商品なのでしょうか?その特徴や評判について解説していきます。

 

インド株式市場に関する詳細はこちらの記事を参考にして頂ければ幸いです。

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高成長インド・中型株式ファンドの特徴とは

高成長インド・中型株式ファンドの仕組み

高成長インド・中型株式ファンドは3ヶ月決算のタイプと年1回決算のタイプの2種類あります。両者とも、日本の会社が直接資産運用するわけではなく、外国の投資信託に投資するファンド・オブ・ファンズ形式で運用を行っています。

 

参照:交付目論見書

 

投資対象はインドの中型株式です。大型や中型、小型の分類は、実質的な運用者である「コタック・マヒンドラ・アセット・マネジメント(シンガポール)」が独自の基準で行っており、ここでいう中型株式とはニフティ500の時価総額上位51位~350位の規模の銘柄のことです。

ただし、あくまで中型株式が主たる投資先なだけであり、大型株式や小型株式に投資されることもあります。大体、投資先の80%以上が中型株式となっています。

成績を左右する実質的な運用者とは?

運用成績を左右する実質的な運用者は「コタック・マヒンドラ・アセット・マネジメント(シンガポール)」で、こちらは2014年に設立された会社です。

「コタック・マヒンドラ」グループはインドを代表する金融グループの一つであり、グループ企業は資産運用会社を始めとして商業銀行、投資銀行、生命保険、証券会社と多岐にわたります。

 

親会社であるコタック・マヒンドラ銀行は、インドの主要証券取引所であるボンベイ証券取引所、ナショナル証券取引所両方に上場しており時価総額は約5.6兆円、上位50位に入る超大企業です。

日本企業でも時価総額が5.6兆円を超えるのは20社程度しかありませんのでいかに大きな企業であるかが分かりますね。インドの超巨大総合金融グループの運用会社が運用を担っているのが高成長インド・中型株式ファンドの特徴です。

「コタック・マヒンドラ」グループで実際に運用を担当するインド株式チームは20名ほどのメンバーで平均業界経験年数は15年となっています。

 

投資先銘柄トップ10

続いて具体的にどんな銘柄に投資しているのか確認してみましょう。投資先の上位10銘柄はこちらです。(参照:2023年2月運用レポート)

銘柄 比率 概要
Persistent Systems 3.20% ソフトウェア大手。世界各国に拠点を持つ。
SRF 3.00% 化学大手。工業用繊維、化学品などを製造。
The Federal Bank 2.80% 1945年設立の民営銀行。
Axis Bank 2.40% インドの大⼿銀⾏。
Cholamandalam Investment and Finance Company 2.40% 金融並びに投資サービスを提供。
SKF India 2.10% ベアリング(軸受)⽣産で世界最大のスウェーデン企業SKFのインド⼦会社。
Cummins India 2.10% エンジンや発電装置などを主要プロダクトとして製造する大⼿企業。
Supreme Industries 2.10% プラスチック関連製品を製造する老舗企業。
ICICI Bank 2.10% 民営でインド最大手の銀行。
Jindal Steel & Power 2.00% 鉄鋼・電⼒大⼿。

 

主な投資対象が中型株となっていますが、中型株は海外展開を推進する大型株とは異なりインド国内に特化した内需企業が多いのが特徴です。

そのため中期的なインドの経済成長の恩恵をより受けやすくなっています。業種としては金融関係の企業が多いのが特徴ですね。そもそもインドは第三次産業が強い国ですのでその傾向を表しているとも言えます。

運用効率を悪化させる分配金

高成長インド・中型株式ファンドでは分配金のシステムが採用されています。資産運用では効率的な運用を考えるのであれば、基本的に分配金を支払ってはいけません。

なぜなら、本来複利で増えていくはずの資産が分配してしまうことでその分減るからです。

 

 

ファンドの純資産が減ってしまうと、運用効率が悪くなり資産が増えにくくなってしまいます。ハッキリ言って分配するメリットはないので、なぜ分配しているのか分かりません。

 

一応、分配金によるダメージを軽減するために、通常の3ヶ月決算型ではなく1年決算型のタイプも販売されていますが、そもそも分配すること自体良くないのでやめたほうが良いと思います。

手数料が非常に高い

高成長インド・中型株式ファンドの気になる手数料についても見てみましょう。投資信託では基本的に3つの手数料がかかります。

 

  1. 購入する時の手数料
  2. 保有している間の手数料
  3. 解約する時の手数料

 

以上の3つですが、手数料が安い投資信託であれば①③の買う時・解約する時の手数料がかからなかったり、保有している間も0.2%程度だったりします。

 

果たして高成長インド・中型株式ファンドの手数料はいくらでしょうか?新興国に投資する投資信託「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」と比較してみましょう。

 

高成長インド・中型株式ファンド eMAXIS Slim新興国株式インデックス
購入時の手数料 3.85% なし
保有時の手数料 年2.0505% 年率0.1870%
解約時の手数料 0.3% なし

 

eMAXISが特に手数料が安い投資信託だとはいえ、それとは関係なく高成長インド・中型株式ファンドの手数料は高いです!

 

いわゆる投資信託で購入時手数料3.85%の水準のものは中々ないですし、保有時も解約時も高いです。全てのタイミングの手数料が高いので合計すると非常に高い手数料となっています。

高成長インド・中型株式ファンドの運用成績は?

手数料が非常に高い事は分かりましたが、運用成績はどうでしょうか。設定来の成績を見てみましょう。

高成長インド・中型株式ファンドのリターン

基準価格は配当金をだした後の成績です。黄色の税引き前分配金再投資基準価額のリターンは実現できません。なぜなら、一度配当金をだすと20.315%の税金を拠出するためです。

実際には黄色と青色の間のリターンを投資家は受け取ることになります。2011年から3倍程度のリターンとなっているとみるべきでしょう。

 

2017年ごろまでは順調に推移していますが、その後苦戦が続いています。直近5年の成績を詳しく見てみましょう。

1年 3年
(年率)
5年
(年率)
トータル
リターン
0.50% 14.47% 6.38%
標準偏差 17.43 28.74 25.45
シャープ
レシオ
0.03 0.50 0.25

 

ここ3年で見ると素晴らしい成績となっていますが、これはコロナショックで落ち込んだ所から回復しただけですので参考になりません。

そもそもが中長期で運用することを目指したファンドですので5年(年率)に注目しましょう。

トータルリターンだけを見ると6.38%、標準偏差が25.45と非常に大きくなっており、値動きが大きいのがこのファンドの特徴です。

 

標準偏差とは?

平均からのばらつきを表しますが、よく分からなければ標準偏差が大きいとリスクが高いということを覚えておいてください。

リターンが6.38%で標準偏差が25.45ということは今後1年のリターンは確率毎に以下となることを示します。

 

平均リターン:6.38%
リスク(=標準偏差):25.45%

【68.3%の確率】

平均値±標準偏差の範囲に収まる

△19.07%(=6.38%-25.45%)

31.83%(=6.38%+25.45%)


【95.4%の確率】

△44.52%(=6.38%-25.45%×2)

57.28%(=6.38%+25.45%×2)

 

【99.7%の確率】

△69.97%(=6.38%-25.45%×3)

82.73%(=6.38%+25.45%×2)

 

場合によっては69%以上の下落があることを示唆しています。かなり高リスクの商品ですね。

続いて、シャープレシオを見て下さい。これはリスクに対するリターンの割合を示しています。難しければ、とりあえず1を超えていると優秀な商品だと思って下さい。

 

高成長インド・中型株式ファンドの場合は0.46と1を大きく下回っています。つまり、とっている大きなリスクの割にはリターンが大したことが無いというのがこのファンドの特徴です。

インド株式市場と比較する

高成長インド・中型株式ファンドはいわゆるアクティブファンドと呼ばれるもので、手数料が高い代わりに株式市場全体の値動きよりも良い運用成果を目指す商品です。

それでは、インドの株式市場と比べて過去の運用成績はどうだったのでしょうか?確認してみましょう。

参照:モーニングスター

 

オレンジ色がインドの株式市場に投資する投資信託の動きで、ピンク色が高成長インド・中型株式ファンドです。

お分かりいただけたでしょうか?そう。高成長インド・中型株式ファンドはインド株式市場の値動きに負けています。手数料が高いのにです。

 

だったら、手数料が安いインド株式市場に連動するインデックスファンドに投資した方がいいのではないでしょうか?

残念ながら高成長インド・中型株式ファンドを選ぶメリットはないというのが結論です。

高成長インド・中型株式ファンドの口コミや評判は?

評判や口コミはあまり多くないですが以下となります。

昨日時点、高成長インド中型株式ファンド(年1回決算)が2018年1月購入以来、ずっとマイナスだったが初めてプラス運用になった。買うタイミングは重要ですね。

@どでみん

 

高成長インド中型株式ファンドの評価・リターン高いが猛烈な高コスト|投資信託の虎 ・・・確かにリターンは高い。が、上限いっぱいの猛烈な高コストと無茶苦茶な分配などを見ると、ろくでもない投資信託だなとは分かる。

@投資信託の虎

やはり高すぎる配当金に対する不満が聞かれますね。長期的なリターンを毀損しますからね。

重要な今後の見通しは?

重要なのは今後の見通しです。以下は各国のPERの推移です。

PERは利益の何年分で企業を購入できるかという指標です。時価総額が100億円の企業の利益が10億円なら10倍ということになります。

当然、PERは低い方が割安ということになります。以下ご覧いただきたいのですがインドの株価指数であるSENSEXは日本、米国、ドイツ、中国に比べて圧倒的に割高になっています。

つまり、今から買いに向かうと遅きに失して株価が急落する恐れがあることを意味しています。一方、中国は企業の成長力も高く金融緩和を実施しはじめた局面で株価が異常に割安に放置されています。

→ 中国株式市場は割安で投資する機会が到来!A株、B株、香港H株、レッドチップなどの違いについてもわかりやすく解説する。

 

中国はまさに日本のバブル期に突入する前の水準で2020年代は大きく期待していいと思います。実際、筆者も大きなポーションを中国に投資しています。以下で中国に投資するファンドをまとめていますので参考にしてみてください。

まとめ

最後に高成長インド・中型株式ファンドの特徴をまとめてみます。

 

✔ インドの中型株式に投資するファンド

✔ 運用はインドの大手金融グループの運用会社が行う

✔ 分配金を出しており運用の効率が悪い

✔ 手数料が非常に高い

✔ しかし手数料が安いインデックスファンドの成績を下回っている

✔ 現在、割高で今後急落するおそれがある

 

着眼点は面白いですが、残念ながら選ぶメリットはないと言えます。運用成績が振るわないせいか、資金の流出がすすんでおり現在は一番多かったときに比べて50%程度の運用残高となっています。

 

新興国投資をしたいのであれば他に魅力的なファンドはいくつもあります!筆者おすすめのファンドは以下のファンドランキングで紹介していますのでそちらもぜひ参考にしてみて下さい。

新興国投資で投資で大きく資産を増やす投資先とは?投資対象・運用戦略・期待リターンから厳選。
新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。