インド投資信託(ファンド・ETF)

【愛称:パワフル・インド】評判のダイワ・インド株ファンドの今後の見通しは?運用成績や仕組みから評価・分析する!

ハイリターンを狙える新興国投資の人気は高まっています。筆者としては、今いちばん熱い国は中国ですが、インド株投資をお考えの方も多いと思います。

 

そこで今回は「ダイワ・インド株ファンド(愛称パワフル・インド)」について今後の株価がどうなるかや運用成績、仕組みを評価・分析していきます。

今いちばん熱い中国投資については別記事でも記載していますのでそちらも参考にしてみて下さい。

中国の経済は今後どうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!

 

また、インド株式市場全体に関する詳細はこちらをご一読ください。

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新興国でインドが注目されている理由とは?

インドは新興国の中でもBRICSとして経済成長が期待されている国です。インドはなぜ注目されているのでしょうか。まず概要を見てみましょう。

 

国名 インド
人口 13億7860万(人)
名目GDP 1兆9551(USD)
1人当たり名目GDP 2172(USD)
主要産業 鉱業、工業、農業、IT産業

 

人口が非常に多く、人口ボーナスがあるため大いに経済成長が期待できますね。また、農業だけではなくITなどの産業が発展しているのも強みの一つです。

続いて、2010年以降の実質GDP成長率の推移を見てみましょう。

参照:交付目論見書

 

2010年以降の10年間、毎年平均約7%となっており高い水準を維持していることが分かります。これまでも成長してきていますし、今後も経済成長が期待されるのでインドには注目が集まっています。

ダイワ・インド株ファンド(パワフル・インド)の特徴

ダイワ・インド株ファンド(パワフル・インド)の仕組み

それでは、ダイワ・インド株ファンド(愛称パワフル・インド)がどんな商品か見ていきましょう。

 

参照:交付目論見書

ダイワ・インド株ファンド(愛称パワフル・インド)はファミリーファンド方式で運用を行います。

投資家の資金をベビーファンドとしてひとまとめにしてマザーファンドに出資し、実際の運用はマザーファンドで行う方式です。

実質的な運用者は?

参照:交付目論見書

 

ダイワ・インド株ファンドの銘柄選定プロセスはこのようになっています。時価総額や流動性で銘柄候補を絞り、企業のファンダメンタルズや成長性、株価バリュエーションを考慮して銘柄を選定していきます。

 

ダイワ・インド株ファンドの委託会社(=運用を指図する者)は大和アセットマネジメント株式会社ですが、助言会社があり実際の運用はSBI Funds Management Private Limitedが行っています。

 

SBI Funds Management Private Limitedとは

・1992年2月に設立。インドステイト銀行(State Bank of India)の傘下。

・インドステイト銀行は1955年設立の大手。インド政府が過半数の株式を所有する国有銀行。

・2004年12月にはフランスの大手資産運用会社るソシエテ・ジェネラル・アセット・マネジメント(現在はアムンディ)も資本参加

 

投資先銘柄TOP10

それでは、具体的にどんな銘柄に投資しているのかトップ10を見ていきましょう。以下は2023年1末時点の構成上位です。

銘柄 業種 比率
1 INFOSYS LTD-SP ADR 情報技術 8.3%
2 ICICI BANK LTD-SPON ADR 金融 7.3%
3 AXIS BANK LTD 金融 6.3%
4 RELIANCE INDS-SPONS GDR 144A エネルギー 5.4%
5 MARUTI SUZUKI INDIA LTD 一般消費財・サービス 4.6%
6 HINDUSTAN UNILEVER LTD 生活必需品 4.1%
7 SGX NIFTY 50 202106 3.9%
8 LARSEN & TOUBRO LTD 資本財・サービス 3.8%
9 TVS MOTOR CO LTD 一般消費財・サービス 3.3%
10 KOTAK MAHINDRA BANK LTD 金融 2.9%

 

金融やサービス業の比率が高くなっています。これらは他のインド株投信でも見られますがインデックスにも投資しているのが特徴的ですね。

組入れ銘柄数は全部で42です。一般的な投資信託と比べると少ないですが、インド関連投信の中では通常かやや多い程度の水準となっています。

投資家にメリットのない分配金

次は分配金の有無についての確認です。投資信託では基本的に分配金がない方が良いです。分配金を出すと運用の元手が減って運用効率が悪くなってしまうためです。

では、ダイワ・インド株ファンド(パワフル・ファンド)の分配金システムはどうなっているでしょうか。確認してみましょう。

 

 

3ヶ月に1回分配があるということで非常に運用効率が悪いシステムとなっています。投資家にとって分配してもらうメリットはないので、なぜこのようなシステムを採用しているのか甚だ疑問です。

高額な手数料

続いて、手数料について見ていきましょう。まず、投資信託の手数料の仕組みを確認すると、主な手数料はこちらの3つです。

 

  1. 購入する際の手数料
  2. 保有している間の手数料
  3. 解約する際の手数料

 

ただし、どの投資信託でも3種類必ずあるかというとそうではなく、①の購入時手数料が無料のものもあり、これはノーロードと呼ばれます。また、多くの投資信託で③の解約時手数はかかりません。

では、ダイワ・インド株ファンドについて見てみましょう。新興国に投資する投資信託「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」と比較してみます。

 

ダイワ・インド株ファンド eMAXIS Slim新興国株式インデックス
購入時の手数料 3.3% なし
保有時の手数料 年1.848% 年率0.1870%
解約時の手数料 なし なし

 

eMAXIS Slim新興国株式インデックスはインデックスファンドのため特に手数料が安くはありますが、ダイワ・インド株ファンドの手数料は高いです。

購入時に3.3%かかって、年1.848%の信託手数料がかかりますので初年度は5.148%となる計算です。

 

さらに、監査報酬や有価証券売買時の売買委託手数料などは事前に明示されない手数料になりますので、プラスで手数料がかかることになります。

手数料が高水準であることは分かりましたが、運用成績が伴っていれば問題ありません。という訳で運用成績について見ていきましょう。

ダイワ・インド株ファンドの運用成績は?

設定来の推移

パワフルインドの基準価額の推移

設定来の推移はこちらです。純資産額がかなり少ないのが特徴ですね。一時は3億円を下回るほど少なくなっていましたが、次第に増加していき現在では50億円を超えています。

続いて運用成績についてもデータで細かく見ていきましょう。

データで見る運用成績

ダイワ・インド株ファンドの細かい運用成績はこちらです。

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 8.38% 12.23% 5.89% 8.51%
標準偏差 18.60 26.80 24.17 22.56
シャープレシオ 0.45 0.46 0.24 0.38

 

10年(年率)を見てみましょう。8.51%になっていますね。ハイリスクなインド株投資でありながらこの利回りは感覚的にも物足りないかと思います。

念のため数字でもちゃんと確認してみましょう。シャープレシオを見て下さい。0.38となっています。

シャープレシオとは?

リスクに対するリターンの割合。数字が大きいと運用効率が良く、数字が小さいと運用効率が悪い。1を超えると優秀だと判断できる。

 

ダイワ・インド株ファンドのシャープレシオは0.38ですので1を大きく下回っています。数字できちんと確認してみても、運用効率が非常に悪いことが分かります。

このリスク水準であれば22%以上のリターンが得られてはじめて運用効率が良いと言えます。リスクに見合ったリターンを得られていないのがダイワ・インド株ファンドの運用です。

ダイワ・インド株ファンドの今後の価格は?

それでは、ダイワ・インド株ファンドの今後の価格はどうなるでしょうか。

 

インドは人口も増えていきますし、経済成長率も高いのでインド経済の成長には期待できます。だからといって、すぐに買ってはいけません。

 

投資で利益を出すには株価が安い時に買わなければならず、高い時に買ってはいけません。

 

インド株式の株価水準がどの程度にあるのかPERを比較して確認してみましょう。

 

PERとは?

企業の稼ぐ純利益に対する株価の割合。数字が大きければ株価が割高である事を意味し、数字が小さければ株価が割安である事を意味する。

 

各年代ごとにインド、日本、中国の株式市場全体のPERを比較すると結果はこちらです。

 

インド 日本 中国
2021年 32.4 19.1 16.2
2017年 22.6 15.3 12.2
2013年 15.7 24.6 9.9

 

2021年現在のインド株のPERは32.4です。日本や中国と比較しても2017年や2013年の時と比較しても一番大きい値となっています。

 

つまり、現在のインド株式市場は世界的に見ても割高ですし、歴史的に見ても割高なのです。割り高で買うと投資は失敗します。

 

ダイワ・インド株ファンドの価格はどこかのタイミングで暴落する可能性がありますのでこれから始めるのはおすすめしません。

 

まとめ

ダイワ・インド株ファンドのまとめはこちらです。

 

  • 実質の運用者はSBI Funds Management Private Limited
  • インデックスにも投資しているのが特徴的
  • 投資家にメリットのない分配金システムを採用
  • 高額な手数料水準
  • リスクに見合ったリターンを得られていない
  • 現在のインド株は割高なので今後、価格は暴落する可能性がある

 

残念ながらダイワ・インド株ファンドはおすすめできる投資信託ではありませんでした。投資信託どうこうという話もありますが、基本的にインド株式市場が割高な水準まで高騰してしまったので中々投資先としては厳しいです。

 

筆者としては、新興国投資をするならやはり中国市場が今いちばん熱いです。おすすめファンドに関する紹介は下記のランキングに記載していますのでそちらをぜひ参考にしてみて下さい。

新興国投資で投資で大きく資産を増やす投資先とは?投資対象・運用戦略・期待リターンから厳選。
新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。