インド投資信託(ファンド・ETF)

新光ピュア・インド株式ファンドの今後の価格はどうなる?買わないべき?評判を徹底研究

新興国に投資する投資信託はいくつもありますが、その中でもインド関連投資信託は一定の人気を集めています。

インドはBRICSにも数えられ、これから経済成長していく新興国として注目を集めていますので人気があるのも納得ですね。

 

今回はアセットマネジメントOneの提供する「新光ピュア・インド株式ファンド」について今後の価格や評判について解説していきます。

 

インド株式市場全体に関する詳細はこちらをご一読ください。

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新光ピュア・インド株式ファンドの特徴

新光ピュア・インド株式ファンドの仕組み

参照:交付目論見書

 

新光ピュア・インド株式ファンドはファンド・オブ・ファンズ方式で運用を行います。

 

新光ピュア・インド株式ファンドが直接インド株式に投資をするわけではなく「TATA・インディアンオポテュニティーズ・ファンド・ジャパンファンド投資証券(米ドル建て)」を通してインド株式に投資します。

 

名前が長いですね笑 こちらのファンドを運営しているのはインドの財閥であるTATAグループの投資信託会社になります。ですので、結局TATAグループの運用次第で新光ピュア・インド株式ファンドの成績は左右されることになります。

 

新光ピュア・インド株式ファンドの実質的な運用は、インドの財閥であるTATAグループの投資信託会社が行う。

 

実質的な運用者であるTATAグループとは?

それでは実質的な運用者であるTATAグループとはどんな企業なのでしょうか。インドでは3大財閥に数えられるほど有名な財閥で各セクターに企業を有しています。

 

参照:交付目論見書

 

構成企業は100社位以上で、各業種で上位の勢力となっています。特に情報技術の「TATAコンサルタンシー・サービシズ」や鉄鋼の「TATAスチール」、自動車の「TATAモーターズ」などが有名です。

 

実際に運用を行うのは「TATAアセットマネジメントリミテッド」になります。続いて具体的にどんな銘柄に投資しているのか確認してみましょう。

 

投資先銘柄TOP10

株式の組入れ上位10銘柄はこちらです。

 

銘柄 業種 比率
1 ICICI Bank Ltd. 銀行 10.1%
2 Reliance Industries Ltd. 石油製品 9.9%
3 HDFC Bank Ltd. 銀行 9.5%
4 Tata Consultancy Services Ltd. ソフトウェア 7.5%
5 State Bank Of India 銀行 6.8%
6 Infosys Ltd. ソフトウェア 5.2%
7 HDFC Ltd. 金融 5.1%
8 Varun Beverages Ltd. 非耐久消費財 4.6%
9 Kotak Mahindra Bank 銀行 3.7%
10 Hindustan Unilever Ltd. 非耐久消費財 3.6%

 

インドで強い産業である銀行やソフトウェア、金融などを多く組み込んでいるのはインド関連投信では一般的です。

 

一方で「Varu Beverages Ltd.」や「Hindustan Unilever Ltd.」の非耐久消費財を組み込んでいるのがやや特徴的ですね。この辺がTATAグループならではの選定と言えるでしょう。

 

投資家にメリットのない分配金

新光ピュア・インド株式ファンドでは年に一回、決算時に収益の分配を行っています。

 

当サイトでは、何度も繰り返し述べていますが、投資家にとって分配金を出してもらうメリットはありません。

 

お金を受け取れて何だか得した気分になるかもしれませんが、トータルで見ると分配金を出すほうが損しています。なぜなら分配金を出すとその分、運用の元手が減り運用効率が悪くなるからです。

 

絶大な効果を生む複利の恩恵を受けることができなくなりますので、分配金を出す投資信託は極力選ばないようにしましょう。

 

分配金を出すと複利の恩恵を受けられず、運用の効率が圧倒的に悪くなります。分配金を出す投資信託は選択肢から外しても良いレベルです。

 

高額な手数料

続いて重要な手数料についても確認しておきましょう。

まず、投資信託の主な手数料はこちらの3つです。

 

  1. 購入する際の手数料
  2. 保有している間の手数料
  3. 解約する際の手数料

 

以上の3つが基本です。ただし、いわゆるノーロードと呼ばれる投資信託では①の購入時手数料はかかりませんし、③の解約する際の手数料もかからないものが多いです。

 

では、新光ピュア・インド株式ファンドの手数料水準はどの程度でしょうか。新興国ファンドの投資信託「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」と比較してみましょう。

 

新光ピュア・インド株式ファンド eMAXIS Slim新興国株式インデックス
購入時の手数料 3.3% なし
保有時の手数料 年2.06% 年率0.1870%
解約時の手数料 0.3% なし

 

eMAXIS Slim新興国株式インデックスはインデックスファンドのため特に手数料が安いですが、それとは関係なく新光ピュア・インド株式ファンドの手数料は高いです。

 

手数料が高い理由は、新光ピュア・インド株式ファンドがアクティブファンドであるためです。

 

アクティブファンド:手数料が高い代わりにマーケット全体よりも良い運用成績を目指すファンド

 

マーケットに連動するように運用するインデックスファンドは基本的に手数料が安いです。一方で、アクティブファンドはマーケットを超える運用を目指してあれこれ頑張って運用しますので手数料は高いです。

 

ただし、アクティブファンドの中でもノーロードのファンドもありますので、新光ピュア・インド株式ファンドはアクティブファンドの中でも高い手数料水準となっています。

 

新光ピュア・インド株式ファンドの手数料が高い事が分かりましたが、それだけで選んではいけないと結論付けるのは早計です。運用成績が良ければ何の問題もありません。という訳で気になる運用成績も見ていきましょう。

 

新光ピュア・インド株式ファンドの運用成績は?

設定来の推移

まず、設定来の推移がこちらです。

 

参照:交付目論見書

 

2007~2008年のリーマンショック前までは、分配金再投資基準で基準価格は2万円を超え、純資産額も1300億円を超えていました。

 

しかし、リーマンショックによってそれらは激減し分配金再投資基準価格は5200円と74%減、純資産額は276億円と80%減となってしまいました。

 

現在はコロナショック後の上昇相場に乗り、リーマンショック前の分配金再投資基準価格を超えていますが、解約者もいるため純資産額は戻らず250億円程度の運用となっています。

 

データで見る運用成績

それでは、これまでの運用成績をデータで細かく見てみましょう。

 

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 52.27% 8.49% 10.47% 8.27%
標準偏差 17.62 25.41 21.20 23.72
シャープレシオ 2.97 0.33 0.49 0.35

 

ここ1年のリターンやシャープレシオの数字はいいですが、これはコロナショックからの回復ですので、この水準を期待してはいけません。

 

もっと長期で評価する必要がありますので、10年(年率)で見てみましょう。

 

10年間で年率平均8.27%とまずますの運用成績に見えますが、注意が必要です。シャープレシオを見ると0.35となっております。これはリスクの割にリターンを得られていない事を示しています。

 

※シャープレシオとは?

シャープレシオ = リターン(リスクゼロで得られるリターンを控除)/リスク(標準偏差)

とっているリスクに対してどの程度のリターンが得られているかを判断する。1を上回っていると優秀。

 

シャープレシオが0.35と1を大きく下回っており、新光ピュア・インド株式ファンドは高リスク・低リターンである事が分かります。

 

これだけ大きなリスクを取るのであれば、年率8%ではなく年率23%以上あってはじめて優秀な投資信託だと評価できます。

 

新光ピュア・インド株式ファンドの今後の価格は?

直近の価格が上昇している新光ピュア・インド株式ファンドですが、今後の価格はどうなるでしょうか?

 

インドの現在の株価水準を見てみましょう。割安度を測る代表的な株価指数PERの比較はこちらです。

 

インド 日本 中国
2021年 32.4 19.1 16.2
2017年 22.6 15.3 12.2
2013年 15.7 24.6 9.9

 

PERは数字が高いと割高で、数字が小さいと割安を意味します。2021年のインドのPERは32.4で国同士の比較でも過去との比較でも非常に割高であることが分かりますね。

 

つまり、現在のインド株式市場は株価が上がり過ぎて割高な状況になっています。割高ということは適正な価格はもっと下にあるということです。インド株は何かのきっかけで暴落する可能性があります。

 

新光ピュア・インド株式ファンドの成績は直近は良いですが、今後どこかのタイミングで価格が下落することが予想されますので、今買うことはおすすめできません。

 

まとめ

新光ピュア・インド株式ファンドについてのまとめはこちらです。

 

  • 実際の運用者はインドの財閥TATAグループの企業
  • 金融や情報技術に加えて非耐久消費財にも投資
  • 投資家にメリットのない分配金システムを採用
  • アクティブファンドの中でも手数料が高い
  • 手数料に見合ったリターンは得られていない
  • リスクに見合ったリターンは得られていない
  • インド株式が非常に割高
  • 今後の価格は暴落する可能性あり、おすすめできない

 

インド株式にお手軽に投資できるのは魅力ですが、手数料やリスクが高い割にリターンは出ておらずおすすめできません。

 

また、投資タイミングとしてもインド株式市場が割高な状況ですので、価格の下落幅を考えると避けた方が良いタイミングです。

 

新興国株式に投資したいのであればもっと適切なマーケットはありますので他の国に目を向けることをおすすめします。具体的なおすすめファンドは下記のランキングにも記載していますのでそちらをぜひ確認してみて下さい。

 

しっかり調査分析して記載していますので一読の価値はあるかと思います。ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

 

新興国投資で投資で大きく資産を増やす投資先とは?投資対象・運用戦略・期待リターンから厳選。
新興国の資産運用

 

 

皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。

先進国と新興国の経済成長率の比較

経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。

青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体

先進国に対して劣後する新興国株式市場

参照:MSCI

 

強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。

そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。

 

また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。