中国は新興国の雄というだけあって様々な投資信託が組成されています。当サイトでも様々な中国投信を分析してきました。
本日は中国だけでなく、中国の関連株にも投資するDIAM中国関連株オープン(通称:チャイニーズ・エンジェル)について見ていきたいと思います。
DIAM中国関連株オープンの特徴とは?
まずはチャイニーズ・エンジェルの特徴についてみていきたいと思います。
投資する中国関連株の定義とは?
名前に中国関連株と書いてあるのですが、チャイニーズエンジェルが規定する中国株と中国関連株の定義は以下となっています。(参照:チャイニーズ・エンジェルの目論見書)
【中国株の定義】
✔︎ 上海証券取引所 (A株、B株)
✔︎ 深セン証券取引所 (A株、B株)
✔︎ 香港証券取引所 (レッドチップ、H株)
✔︎ シンガポール証券取引所 (S株)
✔︎ ニューヨーク証券取引所 (N株)
等に上場する中国資本の企業
A株、B株、レッドチップ、H株の定義については以下で詳しく纏めていますので参考にしていただければと思います。
https://indexnz.com/china-stock/
簡単におさらいすると、以下の通りとなります。
中国株式の概要 | ||
上海株式市場 | A株 | 中国国内投資家向け |
B株 | 海外投資家向け | |
深セン株式市場 | A株 | 中国国内投資家向け |
B株 | 海外投資家向け | |
香港株式市場 | H株 | Mainland Chinaに登記しているものの香港市場を通じて海外投資家から資金調達を行うために上場している銘柄群 |
レッドチップ | 中国政府の資本が30%以上入っているものの登記地はケイマン諸島などのタックスヘイブンとなっている銘柄群で香港市場に上場しているもの |
では中国関連株とはどのような銘柄かを見ていきましょう。
【中国関連株の定義】
以下の要件を満たす非中国資本の企業(日本企業を除く)
✔︎ 香港・台湾の大中華圏資本
✔︎ 東南アジア資本
✔︎ 韓国資本
✔︎ 欧米資本
(要件)
1.売上もしくは資産相当部分の50%以上が中国による又は存在する企業
2.1にみたないが今後の成長の源泉が中国から発生すると見込まれる企業
チャイニーズ・エンジェルの構成上位10銘柄
以下は2023年2末時点のチャイニーズ・エンジェルの構成上位銘柄です。
順位 | 銘柄 | 所在国 | 上場市場 | 構成比率 |
1 | テンセント | 中国 | 香港 | 14.22% |
2 | アリババ | 中国 | 香港 | 9.51% |
3 | 美団 | 中国 | 香港 | 4.48% |
4 | 百度 | 中国 | 香港 | 3.38% |
5 | 華潤ビール | 香港 | 香港 | 2.76% |
6 | 中国平安保険 | 中国 | 香港 | 2.62% |
7 | JDドットコム | 中国 | 香港 | 2.52% |
8 | 李寧 | 中国 | 香港 | 2.44% |
9 | 招商銀行 | 中国 | 香港 | 2.43% |
10 | KANZHUN | 中国 | ナスダック | 2.34% |
上位10銘柄で45%を超えるので、相当上位銘柄に偏っていることがわかります。テンセントやアリババは中国を代表するハイテク企業です。比較的ハイテク企業に重きを置いていることが分かります。
分類別でみると以下の通りとなっています。
分類 | 比率 |
H株、S株、N株 | 19.82% |
深センと上海のA株 | 0.35% |
レッドチップ | 8.61% |
その他中国株 | 58.32% |
中国関連株 | 9.08% |
手数料水準は他の中国投信と同じ
チャイニーズ・エンジェルの手数料は以下の通りとなっています。
購入手数料:3.3%(税込)
信託手数料:年率1.76% (税込)
多少高い水準ではありますが、新興国株式は取引手数料も高いことを考えると致し方ない水準といえるでしょう。
チャイニーズ・エンジェルのリターンとは?中国株価指数とも比較
では肝心のリターンを見ていきたいと思います。
直近は分配金を出していませんが、以前分配金を多くだしていたので分配金再投資基準価格と基準価格に大きな差が生じています。
年 | 1年 | 3年 (年率) |
5年 (年率) |
10年 (年率) |
---|---|---|---|---|
トータル リターン |
-9.52% | -3.88% | -4.67% | 4.10% |
標準偏差 | 35.41 | 27.14 | 25.34 | 23.07 |
シャープ レシオ |
-0.27 | -0.14 | -0.18 | 0.18 |
10年の平均リターン4.10%と平均リスク23.07%から考えられる今後1年間の予測されるリターンは以下となります。
【68.2%の確率】
▲18.97%(4.10%-23.07%) 〜 27.17%(4.10%+23.07%)
【95%の確率】
▲42.04%(4.10%-23.07%×2) 〜 50.24%(4.10%+23.07%×2)
【99.7%の確率】
▲65.11%(4.10%-23.07%×3) 〜 73.31%(4.10%+23.07%×3)
以下は上海総合指数と香港ハンセン指数との比較です。
青色:チャイニーズ・エンジェル
赤色:上海総合指数
緑色:香港ハンセン指数
指数とほとんど同様の動きをしています。
他の中国投資信託と比較
それでは他の中国の投資信託とも比較してみましょう。
赤色:チャイニーズ・エンジェル
黄色:三井住友ニューチャイナファンド
青色:HSBCチャイナオープン
紫色:深セン・イノベーション株式ファンド
トータルリターン等評価情報は 2023年02月28日 現在
ファンド名 | DIAM 中国関連株 オープン |
三井住友・ ニュー・ チャイナ・ ファンド |
HSBC チャイナ オープン |
深セン・ イノベーション 株式ファンド (1年決算型) |
---|---|---|---|---|
トータル リターン 1年 |
-9.52% | -7.12% | -6.12% | -19.55% |
トータル リターン 3年(年率) |
-3.88% | 2.51% | -0.24% | 4.35% |
トータル リターン 5年(年率) |
-4.67% | -0.55% | -1.74% | 7.42% |
トータル リターン 10年(年率) |
4.10% | 6.81% | 6.40% | — |
標準偏差1年 | 35.41 | 29.75 | 29.45 | 34.21 |
標準偏差3年 | 27.14 | 23.78 | 24.25 | 31.54 |
標準偏差5年 | 25.34 | 22.03 | 22.92 | 29.83 |
標準偏差10年 | 23.07 | 21.10 | 22.99 | — |
深セン・イノベーション株式ファンドがリターンとしては圧倒しており、その他は横並びという感じですね。ただ、これは運用スタートしたタイミングが良かったというのもありますね。
中国のハイテク株は大きく上昇しましたが、その後大きく下落しています。一つのセクターに集中投資をしているファンドはボラティリティが大きいので注意を払う必要があります。
以下では魅力的な中国ファンドをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
まとめ
本日はチャイニーズ・エンジェルについてまとめてきました。
特段他の中国ファンドに対して優位な点もなく、敢えて投資する魅力はないと評価できるかと思います。せっかく魅力的な中国に投資をするのであれば、他の選択肢を模索していきましょう!
皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。
経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。
一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。
青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体
強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。
そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。
また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。