新興国投資と言えば東南アジアが人気ですがその中でもミャンマーは「アジア最後のフロンティア」として注目を集めています。
ミャンマーには経済成長する基盤がありながらも、軍事政権下において事実上半世紀にわたり鎖国のような状態になっていたため経済成長が遅れています
そして、2011年に民政移管したことにより、将来の経済成長が期待されています。
果たしてそんなミャンマーに投資する価値はあるのでしょうか!?紐解いていきます。
アジア最後のフロンティア「ミャンマー」
ミャンマーが注目される理由
ミャンマーには経済が成長していくための好条件がそろっていると言われています。
- 人口が多く5400万人を超える
- 中国やインドという大国に面した国土
- 安価な労働力
- 高い識字率
人口の多さは新興国が経済成長していくうえで欠かせない要素です。さらに、人口が今後増えていくかどうかも重要なポイントです。
ミャンマーの人口ピラミッドと今後の人口推移を見てみましょう。
参照:世界の人口ピラミッド
ミャンマーの人口動態を見てみると若い人が多く、きれいなつりがね型となっています。今後の人口増加が予想され、予想シミュレーションを見ても2054年まで人口は増え続けていき6230万人を超える見込みです。
人口という観点から見るとミャンマー経済の成長には大きく期待できます。
ミャンマーの歴史
では、なぜこれだけ好条件がそろっているミャンマーが経済発展が遅れており手つかずのままとなっていたのでしょうか。
それは、ミャンマーが元々軍事政権であり、鎖国のような状態になっていたからです。
ミャンマーの歴史を振り返ってみましょう。
参照:NHK NEWS WEB
第二次世界大戦後はイギリスの植民地でしたが1948年にビルマとして独立し、1962年にクーデターが起こり軍事政権となりました。
その後、民主化運動も起こりましたが軍事政権が長く続き、誰も投資できないような状態が続きました。
だからこそ、ミャンマーは経済発展が遅れており、アジア最後のフロンティアとなっているのです。
2011年に民政移管してから世界の注目の的
民政移管による経済開放
約半世紀にわたり軍事政権が続きましたが、総選挙が行われ2011年に民政移管されました。
それまでは鎖国状態だったため海外からの投資は出来ず経済発展が遅れていたミャンマーでしたが、一転して状況が変わりました。
経済が開放されたことで、中国、アメリカ、シンガポール、日本、などなど世界各国からの投資が相次ぎ色々な企業がミャンマーに進出しました。
日本企業も多く進出したが・・・
日本からも多くの有名企業がミャンマーに進出しています。
- スズキ
- 三菱商事
- 住友商事
- ヤクルト
- KDDI
- キリン
- フジタ
- 東京建物
- 横河ブリッジ
- フォスター電機
- 等々
これらは一例ですが非常に多くの企業が進出すると共に、ODA(政府開発援助)の金額も増加していきました。
参照:日本経済新聞 恐怖と混迷のミャンマー立ち尽くす日本企業
積極的に政府が援助したこともあり、多くの日本企業が事業に乗り出しました。しかし、残念ながらあまりいい結果になっていないのが現状です。
振り返ってみると、2010年代からのミャンマー投資の過熱は一種のブームだったとも言えます。
国軍によるクーデター発生
そして、決定的な出来事となるクーデターが2021年に発生しました。
もともと国軍の議席数が一定数確保されるなど、軍の影響力が維持されたままの民主化ではありました。
ですが、半世紀続いた軍事政権からようやく2011年に民政移管し、ミャンマーの民主化が進んでいたのは間違いありません。
それにもかかわらず、ここにきて再びクーデターが発生したことで大きく後戻りしてしまったと言えます。
引き続き事態打開に向けた進展は見られません。
今後、軍事政権を脱し民主化されるかは大いに疑問が残り、ミャンマーの政治リスクが浮き彫りになる形となりました。
ミャンマー株式市場の可能性
ミャンマー株の買い方
続いて、視点を変えて株式市場についてもチェックしておきましょう。ミャンマー株は元々外国人が購入することはできませんでした。
2020年から外国人も株の売買が可能になりましたが、ミャンマーを訪れて証券会社の口座や銀行の口座を開設する必要があり投資のハードルは高いです。
また、クーデターが発生したことにより今後の投資環境がどうなるかは不透明であり、外国人が投資するのは難しくなる可能性が高いです。
未整備な株式市場
また、仮に投資できる状況であったとしてもミャンマー株式市場に上場している銘柄は7社のみです。
コード | 会社名 | 上場日 |
00001 | First Myanmar Investment Public Co., Ltd. (FMI) | 2016/3/25 |
00002 | Myanmar Thilawa SEZ Holdings Public Co. Ltd. (MTSH) | 2016/5/20 |
00003 | Myanmar Citizens Bank Ltd. (MCB) | 2016/8/26 |
00004 | First Private Bank Ltd. (FPB) | 2017/1/20 |
00005 | TMH Telecom Public Co., Ltd. (TMH) | 2018/1/26 |
00006 | Ever Flow River Group Public Co., Ltd. (EFR) | 2020/5/28 |
00007 | Amata Holding Public Co., Ltd. (AMATA) | 2021/6/3 |
7社しかない状況では、流動性も低く、有望な企業を割安な価格で買うことも難しいため、実質ミャンマーの株式市場はまだまだ未整備の状況となっています。
未成熟なミャンマー
政治的リスクを見ても、株式市場の整備状況を見ても今からミャンマー株に投資するのは非常にリスクが高く非現実的です。
今後、民主化されたとしてもいつクーデターにより軍事政権になるか分かりませんし、株式市場もまだまだ発展途上です。
これから経済成長していく国に投資するのが新興国投資だとはいえ、今のミャンマーの状況はさすがに早すぎます。もう少し政治情勢や株式市場が成熟してから投資するのが現実的です。
有望な新興国はどこ?
投資環境が整っている新興国とは
ミャンマーがだめでも他に有望な新興国はあります。
筆者のおすすめは中国です。中国は全ての市場を合わせると6000社以上の銘柄が上場している超巨大市場です。
特に上海証券取引所は時価総額ベースでニューヨーク証券取引所に次いで世界第二位の大きさとなっています。
それでいながら日本やアメリカより割安な株価となっており今がお買い得です。
経済成長に投資する
そして、中国は経済成長して世界トップの経済大国になることが予想されています。中国の人口は増え続けていますし、個人消費も増加し続けています。
官民一体となって強力に企業を後押しする姿勢も強く、Baidu(百度)、Alibaba (アリババ)
、Tencent (テンセント)、Huawei(ファーウェイ)などの巨大企業がグローバルで活躍しています。
中国企業の競争力は非常に高く、これからの中国経済の急成長には強く期待できます。
中国については別記事でも解説していますのでそちらもご一読いただければ幸いです。
【見通し良好!】中国の経済は今後どうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!
中国株式市場は割安で投資する機会が到来!A株、B株、香港H株、レッドチップなどの違いについてもわかりやすく解説する。
おすすめの投資方法とは
しかし、日本からの限られた情報で中国株を選定して投資していくのはハードルが高いです。そこで筆者は中国専門のヘッジファンドを利用して中国株に投資を行っています。
日本株のように誰もが容易にできる投資先であれば自分自身でやるのがいいですが、新興国投資ではすべて自分でやるのはリスクが高く、プロに委託できる部分は任せてしまった方が効率が良いです。
下記の別記事で詳細を記載していますので、新興国投資で結果を出したい方はぜひ参考にしてみて下さい。
皆さんもご存知のことと思いますが、現在世界経済の成長を牽引しているのは疑いなく新興国経済となっています。今後も先進国の成長率は低下することが見込まれていますが、新興国の高い成長率は継続することが予想されています。
経済の成長にともなって新興国企業の1株あたりの利益もコロナから順調に回復し再び成長軌道に乗ることが見込まれています。
一方、堅調な経済成長と企業利益とは反対に、新興国株式は軟調に推移し先進国株式に対して割安に推移しています。結果として新興国株式は先進国株式に対して30%程度割安となっており2022年以降は再び新興国株式の時代がくると目されています。
青:新興国株式全体
黄:全世界株式全体
緑:先進国株式全体
強い株式市場というのは移り変わっていきます。2000年代は新興国株式、2010年代は先進国株式でした。2020年代は再び新興国株式の時代が到来しようとしているのです。
そして、新興国株式投資で大きなリターンをだすためには、中でも魅力的な新興国に投資をする必要があります。
また、新興国の個別株は個人投資家にはなかなか分析するのが難しいのではないでしょうか。そこで、新興国株式の分析をし実際に投資している筆者の観点から大きなリターンを望める投資先を厳選してランキング形式でまとめています。新興国投資を行う際に参考にしていただければと思います。